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米年末商戦が本格化=関税引き上げ、消費に影も

米国 百貨店でセール品を探し求める買い物客
〔写真説明〕百貨店でセール品を探し求める買い物客=29日、ニューヨーク(時事通信社)

 【ニューヨーク時事】米国では29日、年末商戦が本格化する「ブラックフライデー(黒字の金曜日)」を迎えた。根強いインフレに消費者が財布のひもを固くする中、小売り各社は早めに値引きを始めるなど、顧客の獲得競争が過熱。一方、トランプ次期大統領が表明した中国製品などの関税引き上げは、年明け以降の消費に暗い影を落としそうだ。

 年末商戦は、国内総生産(GDP)の7割を占める個人消費の行方を占う重要イベント。全米小売業協会(NRF)によると、商戦期間を含む11~12月の小売売上高は前年同期と比べて最大3.5%増加すると予想されている。インフレ長期化で出費に慎重な家計が多く、前年実績の3.9%増を下回る見通し。

 ニューヨーク・マンハッタンに店舗を構える老舗百貨店メーシーズには午前6時の開店前に約150人が並んだ。東部ペンシルベニア州在住の女性会社員(50)はインフレに警戒しつつも、「きょうは特別な日なので、化粧品や娘のドレスなどに最大500ドル(約7万5000円)を使う」と話した。

 10月にセール期間を設けた小売り最大手ウォルマートは、食料品の低価格路線が高所得者からも支持され、収益が拡大。半面、節約志向を背景に衣類や家電などを中心とする業態は販売が振るわず、二極化が進む。

 トランプ氏は25日、中国製品に10%の追加関税、メキシコ製品などに25%の関税を発動すると宣言した。NRFは同氏が選挙戦で掲げた関税政策を実行した場合、衣類など6分野で消費者の購買力が年間最大780億ドル(約11兆7000億円)低下すると推計。輸入品価格の上昇は避けられず、支持者からも「インフレにつながる良くない政策」(30代男性)との批判が上がっている。