内閣府が15日発表した2023年7~9月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比0.5%減、この成長が1年続いた場合の年率換算で2.1%減となった。マイナス成長は、過去のデータが改定されたため3四半期ぶり。物価高の影響で個人消費と設備投資を柱とする内需が減少、4~6月期の高成長を主導した外需も輸入の増加でマイナスに転じ、景気のけん引役が不在となった。
GDP成長率に対する寄与度は、内需がマイナス0.4%、外需がマイナス0.1%だった。
新藤義孝経済財政担当相は、先に閣議決定した総合経済対策の実行を通じ「物価高対策や国民の可処分所得の下支えに万全の対策を講じる」との談話を発表した。
需要項目別では、GDPの5割超を占める個人消費が前期比0.04%減と振るわず、2期連続のマイナスとなった。コロナ禍からの経済活動の回復で外食は増加した一方、自動車は減少した。物価高の影響で食料品も落ち込んだ。設備投資は0.6%減と2期連続のマイナス。半導体製造装置などが不振だった。資材価格高騰が響き、工場などの建設投資も減少した。
輸出は0.5%増と2期連続のプラスだった。自動車の輸出が伸びたものの、統計上は輸出に計上されるインバウンド(訪日客)消費額は5期ぶりにマイナスに転じた。
GDPの計算で減少要因となる輸入は1.0%増と3期ぶりのプラス。海外のソフトウエア使用料など、著作権使用料の支払いが増えた。
実質GDPの年率換算額は555兆822億円で、4~6月期の換算額と比べ減少したものの、コロナ禍前の19年10~12月期(542兆1122億円)は上回っている。
物価変動の影響を反映し、生活実感に近い名目GDPは前期比0.04%減、年率0.2%減と4期ぶりのマイナスだった。
◆7~9月期のGDP速報値
◇実質成長率 ▲0.5 年率 ▲2.1
◇寄与度 内需 ▲0.4 外需 ▲0.1
◇主要項目 増減率 寄与度
個人消費 ▲0.04 ▲0.0
住宅投資 ▲0.1 ▲0.0
設備投資 ▲0.6 ▲0.1
民間在庫 ― ▲0.3
公共投資 ▲0.5 ▲0.0
輸出 0.5 0.1
輸入 1.0 ▲0.2
◇名目成長率 ▲0.04 年率 ▲0.2
◇GDPデフレーター 5.1
(注)数字は%。民間在庫は寄与度のみ。GDPデフレーターは前年同期比でその他は前期比。▲はマイナス