東京商工リサーチが10日発表した2023年上半期(1~6月)の企業倒産(負債1000万円以上)は、前年同期比32.1%増の4042件と2年連続で増加した。上半期としては18年(4148件)以来、5年ぶりに高い水準。原材料価格などの高騰や新型コロナウイルス対策として実施した実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」の返済本格化が影響した。
原材料費を価格転嫁できない「物価高」倒産は3.3倍の300件に急増。ゼロゼロ融資後に事業継続を断念した倒産は9割増の322件。「コロナ禍」倒産は6割増の1611件に上った。
産業別では、飲食業を含むサービス業が1351件で最多。人手不足に伴う人件費上昇も経営を圧迫した。資材高に苦しむ建設業が785件、円安進行による原材料高がのしかかる製造業が459件と続いた。倒産件数は25年ぶりに全10産業で前年同期を上回った。
負債総額は45.3%減の9340億円。前年同期には自動車部品大手マレリホールディングスが6月に1兆円超の巨額負債を抱えて倒産した。
商工リサーチは「ゼロゼロ融資返済に円安、物価高、人手不足が重なり、企業倒産は年間8000件も視野に入る」とみている。 6月の倒産件数は前年同月比41.0%増の770件と15カ月連続で増加した。負債総額は9割減の1509億円だった。