2022年度「飲食業の倒産動向」調査  5カ月連続の増加「宅配飲食」は2.3倍に

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レストランの店内
2022年度(4-3月)の「飲食業」倒産(負債1,000万円以上)は592件(前年度比3.2%減)で、3年連続で前年度を下回った。(i-stock/Thank you for your assistant)

 2022年度(4-3月)の「飲食業」倒産(負債1,000万円以上)は592件(前年度比3.2%減)で、3年連続で前年度を下回った。年度で600件を割り込むのは、2004年度以来、18年ぶり。ただ、月次の件数は2022年11月から5カ月連続で前年同月を上回った。特に、2023年に入って増加率は前年同月の1.5倍以上に急増している。

【年度後半に倒産増勢、コロナ関連は6割超に】

 2022年秋以降、飲食業倒産は増勢に転じている。2023年3月は前年同月の1.5倍となる84件で、2020年7月の93件以来、32カ月ぶりに月間80件を上回った。

 新型コロナウイルス関連倒産は385件(前年度比24.5%増、前年度309件)発生し、2年連続の増加となった。

 コロナ関連倒産の構成比も高止まりし、2022年8月から8カ月連続で飲食業倒産の半数以上をコロナ関連倒産が占めている。

飲食業の倒産 月次推移
飲食業の倒産 月次推移

【飲食業 コロナ関連倒産が占める割合】

 最も高かったのは、「専門料理店」の75.1%(コロナ関連倒産103件)。次いで、「居酒屋」(同96件)と「そば・うどん店」(同6件)の75.0%。3業種では、倒産に占めるコロナ倒産の割合が7割を超えた。また、「すし店」(同7件)の46.6%以外はすべてコロナ倒産率が5割を上回っており、コロナ禍からの業績回復が進まない飲食業者を中心に、今後も厳しい状況が続く可能性が高い。

2022(令和4)年度飲食業 業種小分類別倒産状況
2022(令和4)年度飲食業 業種小分類別倒産状況

【負債額別「5千万円以上10億円未満」の中規模レンジで増加】

 最多は「1千万円以上」の388件(前年度比12.6%減、構成比65.5%)。次いで、「5千万円以上」が110件(同13.4%増、同18.5%)だった。飲食業倒産は、負債額「1億円未満」が84.1%を占めた。

 増加率では、「1億円以上」(前年度45.6%増、83件)、「5億円以上」(同14.2%増、8件)、「5千万以上」の順。コロナ禍での借入増加などが影響し、負債の規模が徐々に大きくなっている可能性がある。

 「10億円以上」は前年度から半減したが、「100億円以上」が1件〈(株)ダイナミクス、東京、負債112億3,100万円、破産〉発生した。

【地区別 関東以北と九州で増加】

 9地区中、増加したのは北海道、東北、関東、九州の4地区だった。減少は5地区。

 増加率の最大は、東北の177.7%増(18→50件)で、前年度の2.7倍に増加した。以下、九州の6.6%増(45→48件)、北海道の5.8%増(17→18件)、関東の5.7%増(173→183件)の順。東北では、全県で飲食業倒産が増加した。

 一方、減少率の最大は、北陸の45.4%減(22→12件)。以下、四国の23.0%減(13→10件)、近畿の21.1%減(199→157件)、中国の20.5%減(39→31件)、中部の3.4%減(86→83件)の順。北陸は全県で減少した。

 関東以北での飲食業倒産の増加が顕著となった。

2022(令和4)年度 都道府県別倒産状況
2022(令和4)年度 都道府県別倒産状況

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