ゼロコロナ、経済に深い傷痕=消費回復も楽観できず―中国
【北京時事】中国の1~2月の小売売上高が前年同期比3.5%増に回復した。伸び率がプラス転換するのは昨年9月以来。新型コロナウイルスの感染拡大を徹底的に防ぐ「ゼロコロナ」政策が終了し、消費者の財布のひもが緩んだようだ。ただ、回復ペースは消費分野によってまちまち。若者の雇用も悪化したままだ。ゼロコロナが経済に残した傷痕は深く、李強新内閣は多くの難題に直面している。
「国民の期待を実現することが政府の仕事だ」。李強首相は13日に開いた就任記者会見で新政府の重点課題として、雇用の拡大や所得の底上げを挙げた。政府が目標とする「5%前後」の成長率については達成に自信を示す一方、「世界経済は全般に楽観できない」と、先行きに警戒を示すことも忘れなかった。
消費の内訳を見ると、昨年12月時点で2桁マイナスとなっていた飲食や化粧品、宝飾品がプラス転換した。ただ、政府の購入支援策が打ち切られた自動車がマイナスに転じ、家電も前年割れが続くなど、景気に売れ行きが左右される耐久消費財は落ち込んだままだ。
新政府は内需拡大を重視する考えを示しているものの、財政が悪化する中、現金給付などには踏み切らないとみられる。北京の30代の会社員女性は「(コロナ禍で)しばらく外には出掛けられなかった。旅行には行きたいが、自動車を買い替える優先度は低い」と話す。
雇用についても課題は残ったままだ。当局などによると、中国では今年、大学卒業者数が過去最多の1158万人に上る見通し。だが、2月の16~24歳の失業率は18.1%と高止まりしており、この3年間、ゼロコロナの影響で倒産した企業も多い。人材会社、智聯招聘の調査によると、事務系労働者のうち、年内の失業を心配する人の割合は5割近くに上った。シンガポールの市場関係者は「先行き不安が残り、財布のひもが完全に緩むことはない」と分析した。