経常収支9カ月ぶり赤字、641億円=資源高・円安で悪化幅最大―10月
財務省が8日発表した10月の国際収支速報によると、海外とのモノやサービスの取引、投資収益の状況を示す経常収支は641億円の赤字(前年同月は1兆7347億円の黒字)だった。赤字は1月以来9カ月ぶりで、前年同月と比べた経常収支の悪化幅は1兆7988億円と過去最大。原油や液化天然ガス(LNG)の価格高騰と円安の影響で輸入額が膨らみ、貿易収支が約2兆円悪化したことが主因。
輸出額から輸入額を引いた貿易収支は、1兆8754億円の赤字(前年同月は1590億円の黒字)に転じた。輸出は、自動車などが伸び、前年同月比26.9%増の8兆9892億円。輸入は、資源高と円安が響き、56.9%増の10兆8646億円だった。輸出入額とも過去最高を更新したが、輸入額の伸びが上回った。
輸送や旅行などのサービス収支は7224億円の赤字(同6071億円の赤字)。新型コロナウイルスの水際対策の緩和で訪日外国人旅行者数は増加したが、海外への研究開発費の支払いが増え、赤字幅が拡大した。
配当金や利子の受け払いの収支を示す第1次所得収支は19.0%増の2兆8261億円の黒字だった。海外子会社からの配当金の受け取りが増えた。