服を売らないリアル店舗「似合うラボ」を、ZOZOが経営戦略の軸に置く重大な理由
売るより「似合う」の提供を優先する理由
似合うラボのサービスを受けられるのは当選者のみで、1日4~5人、年間で約1000人程度となる。2月の応募枠100人に対して2万7503人の応募があった。大久保氏は「お客さまがスタイリストとじっくり話せるように、サービスの体験時間を2時間以上に設定した」と話す。
応募者の約9割が女性で、世代別にみると10~20代が約7割を占めた。ZOZOがとったユーザー調査によると、パーソナルスタイリングサービスを受けてみたいという意向は若い世代、とくにZ世代に強かったという。
お客のスタイリング体験をよりよいものにするために、店舗内の空間開発にも改良を重ね、こだわりの空間を演出した。約76坪の店舗内全体を試着室に見立て、「試着室に飛びこむ」というコンセプトをもとに、スタイリストとお客がカウンセリングしやすい空間を設計。
空間を仕切るカーテンは角度によって見え方が異なる透過性のある素材を使用し、重なりあうことで生まれる色味が多様で無限な「似合う」の多様性を表現する。外から中が見えないように設計された外観には、プライベートな空間で自分の「似合う」を見つけてほしいという想いが込められているそうだ。
「カウンセリングでは、自身がどうなりたいか、あるいは自身をどう変えたいか、ファッションに関する好みや悩み、チャレンジしたいことを話してもらいたい。自分の『似合う』をすでにわかっている人も、新たな『似合う』を拓いてもらえたら」と大久保氏は想いを込める。
似合うラボを運営するうえで重視することとして、大久保氏は「まずは似合うラボをどのようにしてZOZOのビジネスの成長に結びつけていくかを見極めたい。似合うラボで得たデータの使い道はレコメンド機能の拡張などさまざまなかたちを想定している。お客さまの声を聞きながらよりよいサービスを検討していくつもりだ」と説明する。