高い評価を得るコープこうべのアプリ、開発担当者がその裏側を語る!
株式会社ゆめみは、生活協同組合コープこうべ(以下、コープこうべ)の開発パートナーとして、スマートフォン(スマホ)から宅配の商品カタログ『めーむ』の注文が簡単にできる「コープこうべアプリ」の開発を担当してきた。同アプリは、2017年4月のリリース以来、店舗や組合員活動といった分野に活用できる機能を追加し、生協の理念を体現するプラットフォームに拡張しており、多くの生協からもアプリ開発のモデルとして注目を集めている。そこで、今回はゆめみ執行役員染矢幹基様とコープこうべインターネット・デジタル推進統括浜地研一様に、小売店アプリ開発のポイントについて、語り合っていただいた。
お客さまの強みを生かした利用者視点の継続開発モデル
染矢 小売業界にかかわらず、ポイントはわれわれのような企業とどう取り組んでいるかです。開発ベンダーは、利用者視点やUXを向上させる提案を先に行ってしまうケースがありますが、まずはお客さま理解です。ビジネス要件や課題を把握したうえで、次に事業の実態を知ることです。当社は現在6つの生協さんとお付き合いしていますが、私自身は宅配トラックへの同乗や店舗視察、勉強会・ワークショップを通じて多部署の方々との意見交換を行っていました。
アプリなどのデジタルを活用していくうえで、お客さまの組織・体制が横断的に取り組める状態とする土台づくりの一環でもあります。
利用者視点のサービス提供は、お客さまの強みが生かされたうえで成り立つので、こうした取り組みができているかは重要なポイントと思っています。
浜地 ゆめみさんとは、開発がはじまる前に内部向けのセミナーを染矢さんにお願いしたんですが、その際の内部評価が高く、コンペでもわれわれのユーザである組合員をとても大切にした提案だったため、ご一緒させていただきたいと思いました。
実際に開発を進めてから思ったことは、プロジェクトマネージャーを担当している方も含めてゴールや想いを共有する感度の高さです。そのため楽しくコミュニケーションをとりながらいいモノづくりができています。
染矢 基本の考え方として、お客さまのゴールとユーザの状態を描いていく世界観の共有は徹底しています。それに沿って、3年・5年・10年スパンで、継続的にサービスを成長させていくことがゆめみの強みです。
一般的には受託開発といわれる事業ですが、依頼されたものを開発するというスタンスと役割ではありません。企画段階からご一緒しているので、システム・マーケティング戦略も含めてサービスをデザインし、仕組みを実現しています。
浜地 本当にそう実感しています。ときには、私たちでも気づかないような、コープこうべ全体を俯瞰し、コープこうべの立場に立って提案をいただけるので、意識の高い職員に見えています(笑)。
職員、組合員からも高い評価を得るアプリ
浜地 おかげさまで、アプリについては、組合員、職員から高い評価をいただいています。
私はここ20年以上にわたり、コープこうべ内のネット関連の開発、デジタルマーケティングやSNSの活用などを担当し、数多くのベンダーの方々とお付き合いしてきましたが、ご提案時はすごくても、いざ、モノになったときに「ちょっと違うかな」という点がいくつかは出るものですが、ゆめみさんはそのご提案を具現化あるいは超えてくるところに感動しました。
いまでは欠かせない存在になっているので、ゆめみさんと出会っていなかったことを考えると怖くなるときがあるくらいです。
染矢 ありがとうございます。
浜地 また、組合員の方からも、「使いやすい」「注文しやすい」「気持ちよく使える」といった声も挙がっています。同じ機能でも、UI (ユーザ・インターフェース)次第で、利用者の感じ方は違ってきますが、「ストレスを感じずに、操作できる」ように仕上げていただいたと思っています。
ゆめみさんこそ、コープこうべの世界観を実現してくれる頼もしいパートナーだと実感しています。
染矢 嬉しい限りですが、当社こそコープこうべさんに感謝しています。具体的には、新しい技術のチャレンジや環境のご提供と都度フィードバックをいただいている点です。
ゆめみの中心は、エンジニアやデザイナーなどのつくり手です。コープこうべさんは日頃お会いしないエンジニアやデザイナーに対しても常にご配慮をくださいます。そういったものが一体感を生み、みんなでいいものをつくろうという雰囲気で開発・制作できることはメンバーの満足度につながります。
私の仕事は、クライアントさま、ユーザさま、開発メンバーの三位の満足度が指標と思っています。そういった点で、本当に感謝しています。
浜地 ところで、コープこうべアプリでは、2018年に手軽に組合員が運営へ参加できる投票機能を備えた「コープTOUCH !」を追加しました。
コープこうべを含め、多くの生協が抱えている課題の1つに、組合員の活動や運営参加に対する意識の希薄化があります。高齢の方たちが増え、現場に参加することが難しくなってきたことや、若い人たちは日常的にどんどん忙しくなっていることがその理由です。
しかし、この投票機能を追加したことにより、リアルの場への参加は敷居が高いと感じていた方でも、アプリの活用によって運営への新しい参加の方向が見えてきた気がします。最初のリリースで組合員の方たちに使いやすさを感じてもらっていたからこそ、この機能の追加がステップアップにつながる大きな意味をもったと感じています。
染矢 敷居が高いと感じている課題に対して、「“気付いたら”活動に参加している」設計ですね。アプリ開発のおもしろさは、段階的に開発を積み重ねながら、こういったように最終ゴールへ向かっていけることだと思います。