「トリプルメディア」の近未来 オウンドメディア活用の重要性と役割

望月 智之 (株式会社いつも 取締役副社長)
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タイムリーに広げるのが
ペイドメディアの役割

これらオウンドメディアとアーンドメディアの連携効果を短期的に高めるためにペイドメディアを活用する方法も考えられます。前回の記事でもご紹介した通り、現在は従来の量的な面を取るといった発想の広告展開は効果を期待できませんが、オウンドメディアもアーンドメディアも共に効果が出るまでにどうしても時間が掛かってしまうという弱点を効果的に補強することが可能です。

例えばアーンドメディアで話題になったコンテンツをタイムリーに活用したり、オウンドメディアで発信している新商品の提案内容を発信することで早期に見込み顧客を発掘、SNSや口コミサイトに情報を拡散するなど、複合的な効果を狙うことができます。特にスピードを重視すべきタイミングにおいて、各メディアの効果を補強する役割が期待できるでしょう。

このようなそれぞれのメディアの特性から、企業側にはUGC(User-Generated Content、ユーザー生成コンテンツ)を活用した商品企画開発やクリエイティブ開発を通した『企画の提供』が求められているのです。目新しい企画の商品であれば、アーリーアダプターやインフルエンサーなどのユーザーが興味を示し、様々なコンテンツが生成されます。ユーザー発信の情報は、企業側が発信する広告よりも効果が高いため、一旦バズったコンテンツをさらに広げるための効果的な手法として活用できます。

企業側からすれば、アーンドメディアやSNSなどはソーシャルリスニング(社会的な声を聴くこと)の手段としても捉えることができます。製品に対して小売側が発見できていなかったようなポジティブなメリットを発見できる一方で、使い勝手の悪さなどダイレクトに改善点に繋がるネガティブな場合もあります。小売業は、オフラインで商売を展開していると、意外とこのような率直な意見を集めることが難しいため、アーンドメディアのソーシャルリスニングを通じてデータを収集し、オウンドメディアの改善や経営上の戦略を立てる際に有用な情報として活用すると良いでしょう。

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記事執筆者

望月 智之 / 株式会社いつも 取締役副社長
1977年生まれ。株式会社いつも 取締役副社長。東証1部の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつもを共同創業。同社はD2C・ECコンサルティング会社として、数多くのメーカー企業にデジタルマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費トレンドの専門家として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、デジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。ニッポン放送でナビゲーターをつとめる「望月智之 イノベーターズ・クロス」他、「J-WAVE」「東洋経済オンライン」等メディアへの出演・寄稿やセミナー登壇など多数。
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