ECに専属スタッフが“常駐”!アパレルのジュンがめざす、本当のOMOとは

堀尾大悟
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OMOで拡張する、店舗とショップスタッフの新たな役割

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 2020年からのコロナ禍、そしてOMOの一連の取り組みによって、ジュングループ全体のEC事業は10年で約4倍に増加。EC化率は35%を超えた。しかし、そのEC事業を長くリードしてきた中嶋氏は「よく誤解されるが、私たちはEC事業だけを伸ばしたいわけではない」と強調する。「本質的な目的は、ECであれ店舗であれ、お客さまが快適に買い物できる環境を提供すること。そのために、お客様とのタッチポイントとしての店舗の役割がますます重要になる」

 全国に350以上ある店舗が、顧客とのタッチポイントとしての機能を果たすことで、店舗からECへ、そしてECから店舗へというクロスユースの動きが促進される。店舗にも自社ECにも「売るだけではない」新たな役割が生まれているのだ。

 実際にそれを裏付ける現象が、先の2022年のゴールデンウィークにも起こった。人の流れが回復し、ジュングループの各店舗にも客足が戻った。そのぶんECの売上は減少するとみられ、ふたを開けてみると案の定EC売上は微減となったが、逆にECへのアクセスが通常の1.5倍に増えたというのだ。「推測だが、店舗を訪れる前に、お客さまはオンラインショップで情報をチェックするという行動が常態化してきていたのではないか。自社ECサイトの役割が買うだけなく情報を取る場所にもなってきた」(中嶋氏)

 こうした「売るだけではない」店舗の新たな役割に合わせて、運営を担うスタッフの役割もまた拡張している。中嶋氏によると、その役割は次の3点だ。

・来店した顧客に満足感のある買い物体験を提供する「接客」

・顧客が求める商品を的確に届ける「物流」

・顧客に対して積極的に情報発信し、来店を動機づける「集客」

 その「集客」のアクションの一つとして、オンラインショップ上では、全国のショップスタッフがコーディネートやアイテムを紹介する投稿が並ぶ。自分が気に入ったスタッフを「お気に入り登録」することも可能だ。多くのフォロワーを持つスタッフも珍しくない。「スタッフの役割が拡張することで、従来の『接客』に強みを発揮する者や、SNSへの発信を得意とする者など、社員が多様な能力を発揮できるように職場環境も変わっていくだろう」(同)

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