ECに専属スタッフが“常駐”!アパレルのジュンがめざす、本当のOMOとは

堀尾大悟
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「アダム エ ロペ」などのブランドを持ち、全国に350店舗以上を展開するジュングループ(東京都/佐々木進社長)。かつて一世を風靡した「JUN」のロゴを思い出す人もいると思うが、現在はアパレル業界でも随一のOMO(オンラインとオフラインの融合)システムを運用する、EC時代のトップランナーの1社だ。オンラインショップでの専属スタッフによるチャットサービス、店舗とECの完全な在庫一元化など「店舗とECの体験価値をイコールにする」一連のOMOの取り組みについて、同社のEC事業を主導する取締役執行役員の中嶋賢治氏に聞いた。

チャットスタッフの接客に85パーセントが「非常に満足」

チャットサービス画面
公式アプリのチャットサービス画面

 「夏用のロングパンツでおススメはありますか? タイトで少しテーパードがかかったシルエットが好みです」

 ジュングループのオンラインショップ「JaDoRe JUN ONLINE(ジャドール ジュン オンライン)」公式アプリのチャットに筆者が相談のメッセージを送ると、1分もしないうちに返信がスマートフォンに飛んできた。

 「チャットでご相談いただきありがとうございます! おススメのパンツでございますね。これからの時期、快適に着用いただけるアイテムをご紹介させていただきます!」

 思った以上のスピーディーな対応に驚かされた。「お探しさせていただきますので、15分ほどお時間をいただきます」と、配慮の行き届いたコメントにも好感が持てる。

 ジュンのオンラインショップには、このように「専属」のチャットスタッフが顧客の問合せや相談に対応してくれる。購買機能に特化したECサイトが多い中、ECにも専属スタッフを“常駐”させているのだ。「チャットでの接客によって、どの商品同士を比較していたのか、どのポイントで悩んでいたかなど、数字に表れないお客さまのフリクション(摩擦や抵抗、EC業界ではお客が欲しがる情報や状態を得るまでに生じる障壁や負荷を指す)を可視化できるようになった。購買データ以外にこの定性情報を取れるようになったことが非常に大きい」。取締役執行役員の中嶋賢治氏はこう語る。

コラージュ画像
チャットではコラージュ画像を用いてコーディネイト提案することも多い

 完全リモート勤務という15名のチャットスタッフは、店舗での接客実績のあるベテラン社員を中心に集められた。チャットのテキストだけで客のニーズや悩みを推測しながら対応できるのは、培われた接客の経験があるからこそだ。それは、直近のアンケートで、チャットスタッフの接客に対して85%が「非常に満足」と回答した結果にも表れる。「私たちが掲げるOMOの理想は『店舗とECでの体験価値をイコールにする』こと。チャットスタッフたちのおかげで、店舗と変わらない体験価値を提供できていると手応えを感じている」(中嶋氏)

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