英仏独リテーラー流通相関図!積極組と海外事業売却組に二極化の動き

松岡 由希子 (フリーランスライター)
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相関図大

数多くのリテーラーが各地域に点在する日本と異なり、少数の大手企業によって寡占化されてきた欧州の食品小売市場。この1年、欧州各国では海外事業を売却するなど経営資源を整理する動きが多くみられた。その一方、積極的に他社の買収を行い規模拡大を図るなど、企業によって経営戦略が2極化する傾向が見て取れる。

イギリス:テスコは英国事業に注力

 英国では、テスコ(Tesco)、セインズベリー(Sainsbury’s)、アズダ(Asda)、モリソンズ(Morrisons)の「ビッグ4」のシェアが食品小売市場の過半を占める一方、ドイツを本拠地とするハードディスカウントストア(HDS)のアルディ(Aldi)やシュヴァルツ・グループ(Schwarz Gruppe)傘下のリドル(Lidl)の存在感も増している。

 英国スーパーマーケット(SM)最大手のテスコは近年、海外事業を整理し、英国事業に注力する動きがみられる。2020年12月には、タイを本拠地とするコングロマリットのチャロン・ポカパングループ(Charoen Pokphand Group)にタイ事業とマレーシア事業を売却。21年春には、デンマーク最大の小売企業サリンググループ(Salling Group)にポーランド事業の大半を売却する見込みだ。

テスコ外観
英国スーパーマーケット最大手のテスコは近年、海外事業を整理し、英国事業に注力する動きがみられる。gettyimages/ilbusca

 アズダに関しては、19年4月にセインズベリーとの経営統合を断念した後、21年2月、親会社のウォルマート(Walmart)がその過半数の株式を英コンビニエンスストア(CVS)EGグループ(EG Group)の創業者イッサ兄弟と英投資会社TDRキャピタルに売却した。

 ネットスーパー専業オカド(Ocado)は、ネットスーパー向けソリューションプロバイダーとして、イオン(千葉県)、モリソンズ、米クローガー(Kroger)、仏カジノ(Casino)ら、食品小売大手8社と提携する一方、英国内では19年8月からマークス&スペンサー(Marks & Spencer)との合弁会社オカドリテール(Ocado Retail)のもとでネットスーパー事業を展開している。

フランス:国内外の企業買収を進めるカルフール

 フランス小売最大手のカルフール(Carrefour)は、

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記事執筆者

松岡 由希子 / フリーランスライター

米国MBA 取得後、スタートアップの支援や経営戦略の立案などの実務経験を経て、2008年、ジャーナリストに転身。食を取り巻く技術革新や次世代ビジネスの動向をグローバルな視点で追う。

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