GDP1-3月期は年率-3.4%、コロナ一撃で連続マイナス成長

ロイター
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川崎市の京浜工業地帯
5月18日、内閣府が発表した2020年1─3月期国民所得統計1次速報によると、実質GDPは前期比マイナス0.9%、年率換算でマイナス3.4%となった。写真は川崎市の京浜工業地帯で2018年9月撮影(2020年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 18日 ロイター] – 内閣府が18日に発表した2020年1─3月期国民所得統計1次速報によると、実質国内総生産(GDP)は前期比マイナス0.9%、年率換算でマイナス3.4%となった。1、2月に見られた消費増税からの回復傾向は、特に3月以降の新型コロナウイルスによる多岐にわたる打撃でご破算となり、消費、設備投資といった民需は全て悪化を余儀なくされた。1―3月期の落ち込み幅は1桁(%)にとどまったものの、4―6月期は本格的な感染の影響が出て深刻な落ち込みとなりそうだ。

結果はロイターの事前予測の年率マイナス4.6%ほどの落ち込みとはならなかったが、昨年10―12月期に消費増税の影響で年率7.3%もの落ち込みとなった後、そこからさらに3%台のマイナス成長となったのは、コロナウイルスによる影響で国内消費の自粛や世界経済の減速による輸出悪化が急速に進んだ結果だ。2四半期連続のマイナス成長は15年7―9月期、同10―12月期以来。

内需をみると、民間消費支出は1、2月までは増税による落ち込みからの回復がみられていたが、3月に外出自粛により旅行や外食などで打撃が表れ、前期比マイナス0.7%と2四半期連続のマイナスなった。

民間設備投資も前期比マイナス0.5%となり、昨年10―12月期の同4.8%の落ち込みの後も、振るわなかった。建設投資や増産につながる機械投資なども先送りの傾向が表れた。

住宅投資はマイナス4.5%で14年7―9月期以来のマイナス幅を記録。公共投資はマイナス0.4%で5四半期ぶりの減少となった。

双方ともコロナウイルスの影響はこの段階では統計にまだ表れていないが、それでもマイナスとなった。公共投資は19年度補正予算や20年度当初予算の執行までの端境期に当たり、1―3月期は落ち込んだ。

住宅投資は昨年分の着工の不振が遅れて統計に出てきた。4月以降の外出自粛で住宅展示場の来場者が急減、営業活動もストップしており、内閣府幹部は「先行きの住宅投資は結構、厳しいのではないか」とみている。

内需の寄与度はマイナス0.7%で2四半期連続のマイナス。外需も全体の足を引っ張り、外需の寄与度はマイナス0.2%と2四半期ぶりのマイナス寄与。

輸出は前期比マイナス6.0%の大幅悪化。2四半期ぶりの悪化で、11年4―6月期以来の減少幅となった。世界経済が収縮し、自動車輸出などが振るわなかったほか、インバウンド消費も大幅に悪化した。

輸入も、内需不振により前期比マイナス4.9%と2期連続の悪化。輸出のマイナス幅の方が大きかったため、外需の寄与度はマイナスとなった。

今後の焦点は新型コロナウイルスの影響が緊急事態宣言により本格的に経済に表れる4―6月期の成長率だ。民間調査機関では年率20%台の落ち込みを予測する声が多い。「4―6月期の方が確実に悪化する」と内閣府幹部も認めているように、経済への打撃を計るには、1―3月期の結果はその入り口と受け止めた方がよさそうだ。

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