クラシエ薬品、「KAMPO OF THE YEAR 2025」を発表 2025年の漢方薬市場動向と注目処方を分析


クラシエの漢方 ロゴ
(クラシエ薬品 ニュースリリースより)

 クラシエ薬品(東京都)は12月4日、2025年の漢方薬市場の動向や売れ行きが伸びた漢方薬をまとめた「KAMPO OF THE YEAR 2025」を発表した。

 同社は、漢方のトレンドを予測することを目的に、1年間の市場動向と生活者の不調傾向を分析し、年末にまとめて発信する取り組みを2022年から実施している。

 今年は、夏の記録的な猛暑や短い梅雨などの気象条件の変化が漢方薬の需要に影響したとみられる。また、若年層を中心にSNSでの情報拡散により漢方薬への関心が高まった一年となった。

 薬局やドラッグストアで販売される一般用漢方薬市場は近年微増から横ばいで推移する一方、医療用漢方薬市場は直近6年間で拡大傾向が続いている。

 購買指数を年代別に見ると、20代・30代で漢方の需要が増加傾向にあり、50代でも引き続き高い水準を示した。主要な利用層が若年層から中高年層まで広がっていることが確認された。

漢方薬 購買指数推移
(クラシエ薬品 ニュースリリースより)

 2024年11月~2025年10月の一般用漢方薬の伸長率では、前年に続き咳症状に用いられる「麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)」が最も高い伸びとなった。今年は百日咳の患者数が2018年の調査開始以来最多となり、その影響で咳に悩む人が増えたとみられる。

 また、猛暑による肌トラブルや熱中症リスクの高まりを背景に、夏の処方である「十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)」や「竹葉石膏湯(ちくようせっこうとう)」の販売も伸びた。

6-9月の伸長処方ランキング
(クラシエ薬品 ニュースリリースより)

 SNSで話題となった処方では、「十味敗毒湯」や、不眠・ストレスに用いる「加味帰脾湯(かみきひとう)」の需要が拡大し、特に20代を中心に利用が広がったという。20代女性の売れ筋では、膀胱炎に用いる「五淋散(ごりんさん)」も上位に入った。

 「十味敗毒湯」は例年8月に販売のピークを迎えるが、今年はSNSの反響を受け、6月に最大となり、その後も高い水準が続いた。長期化した暑さと残暑が背景にあるとみられる。

十味敗毒湯 月別販売規模(数量)
(クラシエ薬品 ニュースリリースより)

 今年は梅雨明けの早さと残暑の長さから“二季化”の傾向が顕著で、夏に需要が高まる処方の需要が秋まで続き、秋の乾燥に伴う咳やのどの痛みへの処方も冬まで伸びるなど、季節需要のパターンにも変化が見られた。

 また、猛暑による外出控えの影響で夏場商材の消費にも影響が及んだとしている。今後も“二季化”が懸念されることから、2026年以降は夏の長期化に伴う体調変化や外出控えがセルフケア需要をさらに押し上げると予測している。

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