楽天的オムニチャネル
楽天(東京都/三木谷浩史会長兼社長)は、モバイルメッセージングとボイスオブIPサービスのViber Media Ltd.(以下、バイバー)を9億ドルで買収すると発表した。バイバーのユーザー数は193カ国の3万人。だが楽天のねらいは会員数増強にはないと思われる。本丸は、〈カカオトーク:KakaoTalk〉〈ライン:LINE〉〈ワッツアップ:Whatsapp〉など、インターネットの次のレイヤー(層)がコミュニケーションのできる「メッセージング プラットフォーム」にシフトしていることへの対応だ。
これが何を可能にするのか? 何より消費者が「楽天市場」でモノを購入するときに、チャット(文字)やボイス(肉声)で出店者に相談することができるようになる。バイバーは、パソコンのみならず、スマートフォン、タブレットなどほとんどのデバイスに対応しているから、ユーザーエクスペリエンス(利用者体験)は格段に向上するはずだ。
楽天は今のところネットスーパーの楽天マートを運営しているものの、リアル店舗は展開していない。しかし、バイバーの買収によってシームレスの度合いは深まり、会員に金融サービス、デジタルコンテンツ、EC(電子商取引)を提供する楽天経済圏は着実に拡大している――。そして、これこそが楽天にとってのオムニチャネルなのだろう。
『チェーンストアエイジ』誌2014年3月1日号
千田直哉の続・気づきのヒント の新着記事
-
2024/07/03
「何にでも感激する経営者」の会社が業績が良い“意外な”理由 -
2024/06/07
経費率16%なのに?ローコスト経営企業が敗れ去るカラクリとは -
2024/05/23
キットカットをナンバーワンにしたマーケター「アイデアより大事なこと」とは -
2024/04/15
スーパーマーケット業界のゲームチェンジャー、オーケー創業者・飯田勧氏の経営哲学とは -
2024/02/23
「ダイソー」創業者・矢野博丈さんが「会社は潰れるもの」と考えて経営にあたった真意 -
2023/10/30
スポーツの番狂わせと企業の好調要因がどちらも「偶然」ではない理由
この連載の一覧はこちら [1787記事]
![千田直哉の続・気づきのヒント](https://diamond-rm.imgix.net/wp-content/uploads/2021/05/20210514_chiefblog.jpg?auto=format%2Ccompress&ixlib=php-3.3.0&s=ebefbdfd159307ddf75e7a10016248a0)