ソニーが20年3月営業益予想上方修正 スマホ「多眼化」追い風
[東京 4日 ロイター] – ソニーは4日、2020年3月期の営業利益(米国会計基準)予想を前年比1.6%減の8800億円に上方修正したと発表した。スマホ端末が複数のカメラを搭載する「多眼化」の傾向を受けてイメージセンサー(画像用半導体)が伸長し、ゲームやテレビの伸び悩みを補う。
会見した十時裕樹・最高財務責任者(CFO)は「イメージセンサーの需要は引き続き旺盛」と説明した。生産能力の増強は予定通りで、設備はフル稼働を継続しているという。強い需要を受けて販売が増加し「当初計画していた戦略在庫の積み上げができていない」(十時氏)という。
競争力の高い新製品の投入で全体のマージン維持・改善ができているとし「ここまで非常に良い形で事業運営ができている」(十時氏)と説明した。来年度以降の中長期的な需要拡大トレンドの見方に変更はないとしたが、新型肺炎の影響や競争環境、各種地政学リスクなど「楽観はできない」(十時氏)という。
新型肺炎の影響は、現時点では業績への影響の把握は困難だとした一方、「今回の上方修正を打ち消す規模の大きな影響が出る可能性も否定できない」とも述べた。イメージセンサーや家電などでは「製造・販売・サプライチェーンに多大な影響が生じる」との見方を示した。
全体の売上高の予想は同1.9%減の8兆5000億円に上方修正した。セグメント別には、I&SS分野は、製品ミックスの改善や販売数量の上振れで、モバイル機器向けイメージセンサーの売り上げ見込みを上方修正した。
金融分野では、ソニー生命保険で特別勘定の運用損益が改善し、売り上げ見通しを上方修正した。
G&NS分野は、自社制作以外のゲームソフト販売見込みを下方修正したことで、売上高予想を下方修正した。エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(EP&S)分野は、市況悪化の影響を反映してテレビ、デジタルカメラ、放送用・業務用機器の売り上げ見込みを下方修正した。
従来未定としていた期末配当について、1株あたり25円(前期実績は20円)になるとの予想を発表した。年間配当は45円(同35円)を予想する。
20年1─3月の前提為替レートは1ドル109円前後、1ユーロ121円前後とした。
2019年4─12月の営業利益は前年同期比0.2%減の8100億円だった。