拡大続く冷食 ミールソリューションの観点からMDを構築する方法とは

解説・文:中村 徹(トルティーノ代表取締役)
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近年、右肩上がりで成長を続けてきた冷凍食品市場。コロナ禍を経て、需要はより底堅いものとなっている。しかし、そうした状況に甘んじて売場やMD(商品政策)を“現状維持”していては、冷凍食品へのニーズが多様化しているなかでチャンスロスを生み出しかねない。市場動向をあらためて確認しつつ、食品スーパー(SM)の冷凍食品部門がとるべきMDの方向性を探ってみたい。

SMの売場スペースは需要に対していまだ不十分

 図表❶に示したように、家計調査の品目分類のうち、「冷凍調理食品」「アイスクリーム・シャーベット」の支出金額はそれぞれ、2001年以降ほぼ右肩上がりで増えている。

 ここでいう「調理食品」とは、「工業的加工以外の一般的に家庭や飲食店で行うような調理の全部又は一部を行った食品」と定義されており、冷凍野菜など素材系の商品は含まれていないと考えられる。そのため、一般的に「冷凍食品」として想起される商品群をすべてカバーした数値ではない。しかし、それにもかかわらず対01年比で23年の支出金額がほぼ倍になっていることを考えると、“冷凍温度帯の売場”をいかに広く確保する必要があるかがよくわかるだろう。

冷凍食品 売場 イメージ
コロナ禍を経て、需要はより底堅いものとなっている冷凍食品市場だが、状況に甘んじず売場や商品政策の方向性を探っていきたい(Byjeng/i-stock)

 とくに冷凍調理食品への支出金額は、コロナ禍以降大幅に増加した。コロナが徐々に収束ムードに移行し始めた22~23年の間でも4.1%増となり、24年も5%程度伸長すると推計されている。一方のアイスクリーム・シャーベットもここ数年の酷暑のなか大きく伸びており、22~23年で6.8%増となっている。

 需要増加を受け、ここ数年、コンビニエンスストアでは改装が頻繁に行われ、冷凍温度帯の売場拡大が図られてきた。一方、SMでも新店や改装店では冷凍売場が拡大されるケースが目立つものの、既存店を中心に全体で見ると、需要に対して売場スペースは不足しているように感じる。

 そうしたなか、新たな展開を示したのがイオンリテール(千葉県)だ。同社は、300㎡以上の売場面積で2000品目以上を扱う冷凍食品の専門店「@FROZEN」を開発し、店舗数を徐々に増やしている。「@FROZEN」のコンセプトで特徴的なのが、「朝食」「ランチ」「ディナー」「おつまみ」「スイーツ」といった5つの食シーン別に、商品を提案するというものだ。実はこの切り口は、冷凍食品のMDを考察するうえで非常に重要である。

災害時にも実は有用!新たな切り口の提案を

 今日の冷凍食品を語るうえで欠かせないのが、

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