年間被害約2000億円! 飲食店のドタキャン「ノーショー」なぜ起こる? その対策は
昨今、飲食店に予約をした人が事前に連絡をせず現れない「No Show」(ノーショー)による被害が増えている。予約台帳やモバイルオーダーなどのデジタルサービスを外食企業に提供するトレタ(東京都/中村仁代表)は2023年6月、キャンセル料の請求・回収業務を行うデジタル請求ツールを提供するPayn(東京都/山下恭平社長:ペイン)と連携することを発表した。ノーショーを取り巻く外食業界の現状、それに向けた対策、提供するサービス内容など、トレタ執行役員CPOの進藤学氏に聞いた。
キャンセル料回収を代行するデジタルツール
トレタが2018年に集計したデータによると、飲食店では予約数全体の約1割がキャンセルされるという。事前連絡もない「ノーショー」はそのうち1割を占め、予約数全体の1%に該当する。ノーショーによる飲食店の損害額は、年間で約2000億円にのぼると試算されている。インバウンドが急増したコロナ前から外国人によるノーショーの増加が問題視されてきたが、コロナ禍を経て経営が逼迫する店舗が増えた。これにより、近年は飲食業界に与えるノーショーのインパクトがより強まっている。
深刻な人手不足、食材やエネルギー価格の高騰により利益を生みにくい状況にある今の飲食業界では、1度のノーショーが致命傷になりかねない。「たとえば1日10席を予約数の上限とする高級寿司屋で4席1組のお客によるノーショーが発生すると、1日の売上がほぼ半減する。繁華街や観光地で営業する飲食店を中心に、『ノーショー対策』のニーズが高まっている」と進藤氏は説明する。そこでトレタではPaynとの協業によりノーショーに対応するサービスの提供を開始した。
サービス内容は、ノーショーや直前キャンセルが発生した際に、店舗がPaynの提供するフォームに予約者情報や請求金額を入力すると、Paynを通して該当する予約者に自動で請求・回収を行うことができるというものだ。予約者はSMSやメールに記載されたリンクからクレジットカードや銀行振り込みでキャンセル料の支払いをする。
飲食店は予約時に提示したキャンセルポリシーに基づき、「無断キャンセル(ノーショー)は正規料金の50%を支払う」など条件を設定できる。支払いがされない場合は、督促のリマインドも自動で行われるシステムだ。店舗にとってお客との直接的なやりとりは不要になり、手間やストレスが軽減されるほか、回収状況の確認も容易だ。多言語に対応しており、海外番号へのSMS送信も可能であるため、訪日外国人観光客への対策もできる。