米年末消費に「対中関税」懸念、トランプ氏の警告で便乗値上げも
[ワシントン 13日 ロイター] – 米クリスマス商戦を前に、中国製品への関税を大幅に引き上げるというトランプ米大統領の警告が消費市場に影響を与えそうだ。同大統領は米中通商協議で合意できない場合に対中関税引き上げに踏み切ると述べており、携帯電話やノートパソコン、おもちゃなどの値段がクリスマスの直前に引き上げられる可能性が出ている。
トランプ大統領は12日のニューヨークのエコノミック・クラブでの講演で、米中の「第1段階」の通商合意が間近であると述べた一方、協定署名の日時や開催地などには一切触れず、合意に至らなければ中国製品への関税を大幅に引き上げると警告した。
複数の専門家や政府筋によると、トランプ氏が今回引き上げに言及したのは、12月15日に発動予定の中国製品約1560億ドル相当に対する15%の追加関税とみられる。対象はビデオゲーム機やパソコンモニター、クリスマス用の装飾品のほか、贈り物としてよく使われる製品だ。
ホワイトハウスのアドバイザーは先週、「第1段階」の米中通商合意がなされれば、12月15日の関税発動は回避される見通しだと述べている。民間の専門家も、消費者への影響の大きさを踏まえると、大統領はこの時期での発動を望まないとみている。
米商務省の元高官で、現在は米戦略国際問題研究所(CSIS)に在籍するウィリアム・ラインシュ氏は、トランプ政権は12月15日の関税発動をできれば避けたいと考えていると指摘。この時期の発動はこれまでに発動した関税よりも消費者への打撃が大きいとし、「トランプ氏はクリスマス直前での発動を望まない。世論の反発はひどいものだろう」と語った。
また、米国の消費者がクリスマス前に購入する商品の大半は関税発動よりかなり前に出荷されたものになるが、関税発動で一部の小売り業者による「便乗値上げ」が起こる可能性があると指摘した。
ラインシュ氏をはじめ、専門家は引き続き、米中が「第1段階」の通商合意に至ると見込んでいるが、その時期は不透明だという。
ラインシュ氏は「米中双方が交渉で優位にあると感じているため、ある意味で危険な状況にはあるが、私は協議が決裂したとは考えていない」と述べた。
議会側近や元米当局者、専門家らによると、トランプ大統領がすでに発動済みの2500億ドル相当の中国製品への関税を引き上げる可能性も理論上はあり得る。ただ、ホワイトハウスが現時点でそれを検討している兆候はない。
また、9月1日に発動された約1250億ドル相当の中国製品への15%の関税が新たな引き上げ対象となる可能性もあるという。米中協議に詳しい筋によると、中国側は9月1日に発動された関税の撤廃を米国に要請したもよう。