柳井正が語るユニクロ「働き方改革」の真価
4月11日、ファーストリテイリングは2019年8月期第2四半期の決算発表を行った。売上高、営業利益とも過去最高を更新した同社。さらなる成長を続けるために、柳井正会長兼社長はどのようなことを考えているのか。決算説明会での柳井正氏の発言をまとめた。
世界一流パートナーと提携
この1年で新たなステージに
この1年、われわれはまったく違うステージに入りました。
グーグルとの提携、スウェーデン五輪代表選手団とのパートナーシップ、ダイフクとの提携、すべてこの半年のことです。われわれはさまざまな世界一流のパートナーと提携を進めてきました。わずか1年前では想像すらできなかったことが当たり前に起きています。
ユニクロがアメリカに1号店を出したのが2006年。10年前には想像もできなかったことが私たちの日常の仕事で起きています。
それも、ダッカ(バングラディシュの首都)からニューヨークまで、発展途上国から先進国まで、グローバルに同じ商品を提供するという例はほとんどないと思います。
今年にはインドに1号店を出店。地域的な拡大に加えて、世界中の多岐にわたる一流プレーヤーと提携してきました。
「ライフウェアメイドフォーオール」というわれわれの服に対する考え方は、世界各地で支持され、ファーストリテイリングはグローバルで最もイノベーティブな企業と認知されつつあると思います。
海外ユニクロ事業の利益が国内ユニクロ事業を大きく上回る状況が定着しつつあります。グローバル企業としての基盤を確立し、世界一流のパートナーと提携し、新たな成長をしていく段階に入りました。
世界中で尊敬される企業になる
その次に、「世界中で尊敬される企業になる」ためにどのようなことに取り組んでいるのかお話ししたいと思います。
私たちは「製造小売業で世界ナンバーワンになる」と言ってきました。
しかし、世界は業界、業種など、既存のカテゴリーが無意味な時代に入りました。企業の評価基準も変わりつつあります。売上高とか、営業利益率とか、市場シェアだけにとどまりません。企業として全体的な質の高さ、つまり、世界各地で社会によりよい影響を与えられる企業、世界中の人々の生活をよりよい方向に変え、尊敬される企業、それらが最も重要な時代に入ります。
私たちもそういう企業になる決意をいたしました。
有明プロジェクトの根幹は働き方改革
私たちの基本的コンセプトである「ライフウェア」を世界中の人々に提供するため、根幹となるのが「有明プロジェクト」です。その有明プロジェクトがいよいよ実践段階へ入りつつあります。試行錯誤、悪戦苦闘を続けながら、進めてきました。今後の中長期計画はすべて有明プロジェクト中心に進めていきたいと思います。
有明プロジェクトは世界最先端のシステムの導入、EC強化、という表面的なものではありません。私たち自身の考え方、働き方を変える。企業文化を変え、社会に提供する価値を変え、社会そのものを変えていく。それによって、「ライフウェア」を実現していきます。
店頭やカスタマーセンター、ECという顧客接点で得た「生の情報」を元に、商品計画、企画、マーケティング、生産を連動させたマーチャンダイジングを実現し、お客さまに適切な商品を適正な時期、場所、量、価格でお届けする。世界13万人の従業員がフラットにつながり、お客さまにとって不都合なことをなくし、お客さま満足を徹底的に追求する。
まだまだ初期段階ではありますが、そのための具体的な環境がととのってまいりました。
ただ、このプロジェクトは永遠に完成しないものであります。全社員が参加し、お客さまの変化を敏感に感じとり、自ら変わり続ける。膨張ではなく成長を。一言で言えば、好調な決算の反動、商売が好調だったがゆえに気持ちの緩みがうまれる、そういった事態に陥らないようにすることがプロジェクトのねらいであります。
社員全員が具体的な数字をリアルタイムで観られるようにし、すべての決定プロセスを透明化する。判断の結果をすぐに検証するAIの力も最大限活用しながら、実現していきます。
何よりも重要なのは、お客さまの評価はもとより、あらゆるものを先端技術で自動化したところで、お客さまの役に立たないとなんの意味もないと考えています。
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まさに金言!柳井正の座右の銘とは!?