豚肉、地域ブランド訴求や簡便訴求など多様な選択肢を提供する売場を展開
豚肉は家庭内食のベーシックな素材として大きな需要があるが、最近の売場展開のトレンドとしては、定番の部位やカットを揃えるとともに、容量のバリエーションの多様化やブランド肉の価値訴求、味付け肉やメニュー向けセット商品による簡便性の訴求など、幅広い選択肢を提供する動きが強まっている。最近の新店から豚肉売場の事例を見ていこう。
商品カテゴリーごとに機能性食品を
集約したコーナーを展開
輸入、国産ともに高値トレンドが続く豚肉市場では、価格訴求だけでなくブランド価値や付加価値を全面に出す訴求が活発化している。また新鮮味のある食べ方提案を行うなど、さまざまな工夫を凝らして購買意欲を喚起する取り組みが行われている。
そのひとつがブランド肉や地域ブランド肉を揃える価値訴求だ。
ライフが旗艦店と位置付ける「セントラルスクエア」の屋号で出店した「セントラルスクエア恵比寿ガーデンプレイス店」では、宮崎県産「安納黒豚」のさまざまな部位を揃え、平台で展開する。
同様に、大型商業施設内にオープンした「ヤオコー八王子鑓水店」では、「さつま黒豚」の品質や安全性などをPOPで訴求する。
豚ロースのステーキ用肉を骨付きで訴求するのは「マルエツ板橋南町店」。さまざまな新MDを導入する注目店で、ディスプレイにも一工夫凝らしている。
また、大容量品や小容量品など、容量のバリエーションを幅広く揃える店舗も引き続き多い。「原信古正寺店」では「ファミリーパック」専用コーナーで展開する。
このほか、豚に限らず内臓肉に力を入れるチェーンも増えている。「イオンスタイル土岐」では、もつ煮込みや炒め用ホルモンを大容量品も含めて大きく展開する。
味付け肉などの簡便訴求も、引き続き活発だ。「マックスバリュエクスプレス幕張店」では、トンテキ用や味噌漬けのほか、豚タンねぎ塩味や、プルコギ用など多様な品揃えを展開する。
SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みも積極的に取り入れた新店「サミットストア世田谷船橋」では、容器のままレンジアップして食べられる簡便性の高い豚肉メニューを揃え、平台で展開する。
また「オギノ都留田野倉店」では、パック入りの豚肉総菜を、こだわりのPB「オギノセレクトプレミアム」として商品化。品質や味の良さを訴求する。
同様に、生鮮部門の素材を使用した総菜に力を入れるチェーンも多い。「マルナカまんのう公文店」では、「煮込みとんそく」「豚バラ軟骨煮込み」など、特徴のある独自メニューを店内調理して提供している。
このほか、ストック用の冷凍肉の売場を拡大する新店も目に付く。「イオンスタイル新浦安MONA」内に、日本最大級の約1500品目の冷凍食品を取り揃える新業態としてオープンした「@FROZEN」では、冷凍肉を多様に揃えて展開。ストック用の大容量品のほか、小容量品も提供している。