ユーロ圏GDP、1~3月0.2%増=4月物価は過去最高の伸び―EU統計局
【ブリュッセル時事】欧州連合(EU)統計局が29日発表したユーロ圏(19カ国)の1~3月期の実質GDP(域内総生産)速報値は、季節調整済みで前期比0.2%増加した。4四半期連続のプラス成長だが、昨年10~12月期の0.3%増からさらに鈍化した。ロシアによるウクライナ侵攻で深刻化したエネルギー価格高騰や供給制約が重しとなった。
同時に発表された4月のユーロ圏消費者物価指数(速報値)は前年同月比7.5%上昇。エネルギーや食品を中心に幅広く値上がりし、過去最高の伸びだった3月(7.4%)を上回った。インフレ抑制のための利上げについて、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は今月、「年末までに踏み切る可能性が高い」と発言しており、市場で利上げ観測が高まりそうだ。
主要国の1~3月期GDPは、ドイツが前期比0.2%増と2四半期ぶりにプラスに転じた。一方、フランスは景気回復の主力だった個人消費の落ち込みが響き、横ばい。イタリアは0.2%減と5四半期ぶりにマイナス成長となった。
ユーロ圏では、新型コロナウイルス禍からの経済活動再開が景気を下支えする効果も引き続き見られる。ただ、オランダ金融大手INGは「4~6月期に経済は(さらに)縮小するだろう」との見通しを示した。
EU内では現在、ロシア産原油の輸入制限を含めロシアへの追加制裁が検討されている。域内経済への副作用を懸念する声も根強く、加盟国は難しい対応を迫られる。