コマツの4─12月 営業益倍増 物流リスクなど不透明で通期据え置き
[東京 31日 ロイター] – 建設機械大手のコマツが31日発表した2021年4―12月期の連結営業利益(米国会計基準)は、前年同期比2倍の2237億円だった。建機・鉱山機械ともに中国以外のすべての地域で需要が伸びたほか、値上げや円安が寄与した。物流のひっ迫や新型コロナウイルスの感染再拡大リスクなど不透明感が残るとして、通期の計画は据え置いた。
電話で会見した堀越健取締役は「船積みのリードタイムが(通常の)1.5から2倍程度長くなっており、船積みできないリスクがある」と説明。前年同期比で大幅増収増益となった4─12月期も海上輸送のひっ迫を要因として、販売量が会社計画を下回ったという。
資材価格の上昇なども値上げや円安で相殺できているとし、インドネシアをはじめとするアジアなど収益性の高い地域で販売が増えたことこともあり、売り上げ、利益とも21年10月に発表した通期計画は達成可能との見解を示した。半導体不足の影響はほとんど出ていない。中国の建機需要は、インフラ投資の低迷で引き続き振るわないとみている。
22年3月通期の業績は、連結売上高2兆6830億円、営業利益2820億円の見通しを据え置いた。IBESがまとめたアナリスト15人のコンセンサスによると営業利益の平均値は2943億円となっている。
ウクライナ情勢を巡り、主要市場の1つであるロシアに米国が制裁を発動した場合のリスクについては、「(通貨)ルーブルが安くなり、(製品)価格が高くなって需要が下がる可能性はある」(堀越氏)とした。
併せて発表した10─12月期3カ月間の業績は、連結売上高が前年同期比30.2%増の7232億円、営業利益が同85.4%増の874億円だった。部門別では主力の建機・車両の売上高が同30.2%増の6601億円、営業利益が同94.2%増の732億円。特にアジア、北米、中南米などで引き合いが強く、円安も加わり大幅な増収増益だった。