ベイシア、衝撃の低価格!298円ミールキットは市場を開拓するか!?

大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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生協やセブンも販売
1人前キットの可能性

 現在、ミールキットは2~3人前で、800円~1200円の価格帯の商品が中心だ。そうしたなか、ベイシアは分量を1人前とし、かつ最も安いもので298円という低価格を実現させている。
 すでに販売されている1人前のミールキットの代表例としては、生活協同組合のオリジナル商品で価格は398円、調理時間は7分ほどのフローズンタイプのものが挙げられる。
 また、コンビニエンスストアの「セブン-イレブン」も、宅配食事サービス「セブンミール」の商品として、主菜と副菜の2品が調理時間計20分でできるというチルドタイプのミールキットを510円~という価格で販売している。これら既存の商品と比較しても、ベイシアのミールキットは、精肉は別途買い足すタイプのものとは言え、その低価格が際立っている。
 ミールキットは市場が拡大しているとは言え、未だ爆発的な普及に至っていない。その理由の1つとして、食材がセットになっているがゆえに1品当たりの価格が高いということが考えられる。そんななか1人前で低価格なミールキットであれば、試しに購入する人が増え、ミールキット利用者の裾野を広げられる可能性もある。

ミールキットコーナー
平台でコーナー化するほか、試食販売や生鮮各部門での関連陳列も積極的に行い認知度を高める

ベイシアの本当のねらいとは

 ベイシアが同シリーズでターゲットとするのは、若い世代や高齢の単身者だ。「料理のつくり方がわからない」「料理をする時間がない」「1人分だけのために食材を買い揃えるのが勿体ない」という潜在的な需要を取り込む考えだ。
 同時に、ミールキットを窓口に最終的には食品スーパーで食材を購入する人を増やしたいねらいがあるという。「ミールキットを通じて、料理は実は簡単にできるということを知ってもらい、将来的には料理に必要な生鮮食品や調味料をベイシアで買い揃えるようになってもらいたい」(同社広報)。
 同シリーズは今後、全店で導入予定で、平台でコーナー化するだけでなく、試食販売や生鮮各部門での関連陳列なども積極的に行い、認知度を高めていく方針だ。ベイシアが開発した低価格ミールキットは消費者に浸透するのか、注目だ。

 

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記事執筆者

大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。

最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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