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第3回 DX推進に欠かせないのは「社内の仲間づくり」である理由

グッデイ流 デジタル活用実践術

デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するうえで欠かせないのが、社内でデジタルに理解のある人材を育成することだ。グッデイでは社内でデジタルに関する勉強会を開き、社員のデジタルリテラシーを底上げしている。

社員が講師になるデータ勉強会

 社内で勉強会をやり始めたのは2015年です。

 前回に述べたように、BIツール(売上や在庫など基幹システムで生成したデータを分析するツール)の「Tableau(タブロー)」を導入した結果、各店舗の売上や在庫などの集計作業が、これまでシステム部に依頼して数週間かけていたものが、瞬時にできるようになりました。しかも、システム部門だけでなく、営業担当者から社長まで誰でも簡単にできます。

 簡単に集計作業ができるようになったため、これまで手が回っていなかった、データを分析するフェーズに移行しようと考えました。データをただ集計し、表をたくさんつくるのではなく、その数字の意味を読み解くためには統計学の知識が必要です。

 そこで、タブローの使い方や統計などデータリテラシーを高めるための基本的な部分や、財務・在庫管理といった小売業としてデータを扱うための全般知識をつけるための勉強会を始めることにしました。データサイエンティスト協会が定義しているデータサイエンティストに必要な3つのスキルセットである「ビジネス力」「データサイエンス」「データエンジニアリング」をある程度理解できるようにプログラムを考えました。

 2017年に「グッデイデータアカデミー」という名前で、社員がかわりがわり講師になりながら勉強会を運営するようになりました。週に1回1時間、1年間でひととおりのことが学べるプログラムです。本部の若手社員を中心に、毎年10名前後が勉強会に参加しています。

 最初は、各部署にデータアカデミーの受講生が1人以上いるという状態をつくることをめざしました。それは達成できたので、今は各部署でデジタルリテラシーの高いメンバーが2~3人いる状態をめざしています。また、社内教育の基礎として、研修プログラム化することも準備をしています。

 2019年からはグッデイデータアカデミーからさらに一歩踏み込んだ取り組みも始めました。それは、データアカデミーを受講済みのメンバー10名弱と私が加わる勉強会「グッデイX」です。

 データアカデミーはデータリテラシーを高めるための座学が中心であるのに対し、グッデイXはITをどう業務に役立てるかという実践に重きを置いています。具体的には「マーケティング」「アプリ/AI」「データ分析」の3つのテーマについて、担当者がリサーチしたことをプレゼンし、残りのメンバーが質問をして実践投入できるか検討します。こちらも毎週1時間行っています。

 実際にグッデイXで検討したものとして、「LINE」を使ったウェブマーケティングや寄せ植えのAIアプリ、デジタルサイネージなどを採用しました。

 DXが進まない要因として、社内でこのような組織をつくるのにうまくいかないという声をよく聞きます。「DXはシステム部の仕事」だと捉えている会社が多いようですが、「ITを使って、経営課題をどう解決するか」こそがDXです。経営の立場からデジタル活用を見る必要があります。

 また、ITを「魔法の杖」と勘違いしている人も多くいます。ひとつひとつの業務に対して、ITでどのように解決するのかを理解したうえでシステム化しないと使えないものになります。最も悪いのは、ITベンダーに言われるままシステムを導入することです。新システムを導入したのに使われないのは、丸投げになっているせいです。

図表:グッデイデータアカデミーの勉強会で取り上げる内容