第6回 デジタル活用がうまくいかなかった「暗黒期」と脱却のきっかけとは

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グッデイ流 デジタル活用実践術

今や代表的なDX(デジタルトランスフォーメーション)の先進企業のグッデイだが、デジタル改革は初めからうまくいったわけではない。今回はデジタル活用がうまく進まなかった「暗黒期」の話を解説してもらう。

チャレンジが
できない文化

 私がグッデイに入社したのは2008年です。1年目は店舗で働いてました。4つの売場を3カ月ずつ経験しました。店舗で働いていて思ったのは、全体的な印象として内向きな会社だと思いました。

 その中でとくに3つの大きな特徴に気づきました。

 1つ目は「仕事=作業」となっていたことです。小売業の仕事は基本的にルーティンワークが多く、社内は約30年ずっと同じことをやってきてるので、それをきっちりやることに責任感を感じていることに驚きました。経験を重視する傾向で、仕事のやり方についてもマニュアルがなく、口頭で教えることが当たり前になっていて、前職の商社と比べて、会社の風土が違うと感じました。

 2つ目は、お客さま思考ではなく自分起点の発想になっていた点です。当時、「自分の売場は自分でつくる」というスローガンを掲げていて、店舗の社員が自由に売場づくりをしていいということを強調していました。お客さまのニーズがどこにあるのかということを想像するのではなく、どうやったら儲けられるのか、どういうモノを売りたいのかの優先順位が高くなっていたのです。

 3つ目は、社員が今までずっとやってきた分野についてはすごく自信を持っていますが、それ以外の分野については失敗を恐れて、新しいことにチャレンジしない文化になってしまっていたことです。「今まではこうだったから」という人が多く、なかなか改革、改善をしにくいと感じました。

 その結果、業績も低迷が続きました。業績が下がることにも慣れてしまっていて、危機感もあまりない状況でした。店舗で1年働いて、とても不安を感じました。

クラウドの
勉強を始める

 IT活用について、もともと電気屋の息子なので、何かしないといけないと思っていました。しかし、「ITに投資をしよう」という話をするとすぐに金額の話になり、話が進みませんでした。何を改善するために、どれくらいの費用がかかるかという費用対効果の話をしたいのに、新たなシステムをつくるのに何千万、何億円がかかるというやたらと金額が大きい話になってしまいました。そうなるとなかなか会社としての意思決定は難しくなります。

 おそらく、今もそういう悩みの会社は多いと思いますが、グッデイも当時は同じような状況でした。

 結局私が入社して、15年に改革に取り組むまでの約7年間はずっと諦めていたのが実情です。システムはそういうものだし、当時流行り始めていた「クラウド」もITベンダーのセールストークで、自分たちが使えるものとは正直思っていませんでした。

 転機はクラウドベースのサービスがいろいろと出始めたころです。AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)などのクラウドがどういうものなのかに私も興味を持ち、「AWSサミット」などのカンファレンスに参加するようになったのがきっかけです。

 しかし、当時はまだAWSを使って具体的に何をするのかについてはわかっていませんでした。なんとなく、これからの時代はクラウドがくる、というように考えていたくらいです。

 その後、社内のシステム部のエンジニアに「AWSの中にデータウエアハウス(データを保管する場所)をつくり、基幹システムのデータを試しにアップロードしたので使ってほしい」と言われました。

 そこで、いろいろとデータ分析を試すようになりました。その後、私はデータ分析に取り組むことの重要性に気づくことになりますが、その話は次回以降で。

グッデイの外観
クラウドベースのサービスに興味を持つようになったのが「暗黒期」からの脱却の転機になっている

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