“ネクストノーマル時代”の小売業 未来戦略
変化する「新しい消費者」を捉えるデジタル変革が不可欠
新型コロナ以前の消費行動には戻らない
2020年の前半は、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大で、ビジネスだけでなく、社会生活や個人生活にも大きな影響が生じている。感染が収束しない中で、今後さらに第2波、第3波のパンデミックの懸念も広がっている。
感染拡大とともに食料品や日用品をはじめ医薬品などの供給の使命を負った小売業の
現場では、消費者の生活支援を継続するために三密回避の工夫を施すなど対策を推進してきた。そして「ウィズコロナ」「ポストコロナ」と言われる中で、社会の仕組み自体が新たな生活様式「ネクストノーマル」に対応していくことが求められている。
新型コロナウイルス感染拡大が続く中で、消費者の行動も変化した。EC利用へのシフトや接触を防ぐためのキャッシュレスの普及、そして経済活動がシュリンクする中で節約志向という動きも出ている。確実に消費行動は変化している。そして、パンデミック以前に戻ることはないとまで言われている。
セールスフォース・ドットコムは、「『ネクストノーマル時代』の小売業Salesforceと共に、『新しい消費者』に向き合う」と題するレポートを発表。これからコロナウイルスとの共生が求められる時代に、小売業がどのように変革に取り組んでいくべきかを提案している。
ネクストノーマル時代に対応する改革とは
同社のレポートでは、ネクストノーマルに向けた小売業の改革素案として①EC対応②コンタクトレス対応③既存の取り組みを強化④ブランドの強化の4つのポイントを挙げている。
EC対応では、これまでネットで購入してこなかった生鮮食品など、店頭で選んで買っていた商品もECで購入する機会が増えた。コンタクトレス対応は現金に触れることで感染リスクが高まるという判断から、クレジットカード利用を含めてキャッシュレス化が進んできた。スーパーでの食材購入など、数量が少なかったり少額であったりする買い物でもキャッシュレス決済を求めるようになっている。
既存の取り組みを強化というポイントでは、生産性向上や店舗運営の効率化はネクストノーマル時代でも継続すべきテーマだ。消費者の行動はさらに変化する可能性がある。それに柔軟に対応していくこと、人手不足の中でも安定して事業継続できる体制は不可欠だ。生活者に物資を安定供給する小売業はインフラである。誰もが不安を募らせる中で、安定して食料品や日用品などを提供する小売業は、エッセンシャルワーカーつまり必要不可欠な業種である。ネクストノーマル時代に対応することが、小売業それぞれのブランド価値を高めることになる。
これからはデータを基にした意思決定の時代
ネクストノーマル時代のキーワードは「デジタル」。デジタルテクノロジーの活用が、ネクストノーマル時代の小売業を実現する唯一の方法であり、「デジタルファースト」あるいは「モバイルファースト」の実現は不可欠である。SNSを通じたブランディングやコミュニケーション、店舗アプリや業務システムの連携、あるいはECシフトなどデジタルをベースにした体制構築が重要だ。
さらにレポートでは、「ネクストノーマル時代の消費者は、信頼するブランドを絞り込む傾向が出てくる」とし、ビジネスモデルの中心には顧客を置くのはもちろん、その方法も多様化するために顧客接点を広げるオムニチャネル化を進める。
もちろんデジタルファーストは、従業員とともに構築していくものであり、今後も起こり得る変化に対しスピーディに対応するために業務のアジャイル化の必要性も取り上げている。AIやIoTといったテクノロジーの活用も、小売業の事業効率化に貢献するだろう。これからの業務は、データに基づいた意思決定が重要になる。
ネクストノーマル時代がどのような社会になるのか、明確な姿は見えていない。と言うよりもネクストノーマル時代は常に変化していくものだと考えるほうが正しいかもしれない。
セールスフォース・ドットコムは、クラウドや様々な小売業向けソリューションの提供を通じて、ネクストノーマル時代に成長する小売業のデジタル変革への挑戦を支援していく。
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