自力歩行が難しい高齢者が来店できるように!歩行アシストロボが小売の未来を拓く?
“着るロボット”を着て、買物に行く
そんなに遠くない将来、高齢の人たちが、若いころと同じように自分の足で店内を歩きまわり、買物を楽しむ光景が当り前になるかもしれない。
信州大学繊維学部が産学連携で開発中の、生活動作支援のためのロボティックウェアは、身体能力が低下した高齢者や障がいのある人が見にまとうことを前提に進められているものだ。
歩行アシストロボット「Curara4(クララ)」は“人にやさしい”着るロボット。システム設計上、同じようなタイプのロボットとは異なる大きな特徴が3つある。
1つめが「非外骨格型構造」だ。モーターが装着者の関節部分に取り付けてあり、各関節間のリンクがないため歩行時に違和感なく歩くことができる構造になっている。また、パンツタイプの開発が進み、在宅での利用がより容易となり、生活になじむ機能的なデザインになっている。
2つめが「動きを検知する力検出センサ」。このセンサにより、人の動きに合わせてロボットが動き出すように制御できるようになった。
そして3つめが「人にやさしく合わせる同調制御法」だ。人間は相手の動きに合わせて、動き方や力の入れ方などを調整しているが、それと同じことをロボットができるようにしている。
加えて、クララの装着は専用のいすに座り、関節フレーム固定用のベルトを止めれば装着が完了する。座ったまま装着できるため、高齢者や障がいのある人の負担も軽くなる。慣れてくれば1分で着脱が可能になるという。
2017年には大学ベンチャーとして販売会社のアシストモーション(長野県/橋本稔社長)を立ち上げた。クララは2020年にも製品化の予定で、モニターとして実体験した人からは次のような声も届いている。
「自分の足で歩いているのと同じような安心感がある。早く孫といっしょにスーパーに買い物に行きたい」
高齢化による体力低下のため、自力で歩行ができなくなった人も、クララを装着することで、とうに諦めていた「(自分で)買い物をする楽しみ」が復活する。高齢者にもやさしい店づくりはこれからが本番だ。