トライアルはなぜ福岡の山間部でリテールDXを実現しようとしているのか?
リテールDX実現を図る3つの施設と2つの店舗

現在稼働している研究施設は大きく3つ。全国各社のメーカーや卸企業が集う「MUSUBU AI」、スマートショッピングカートなどデバイスの開発センターである「TRIAL IoT Lab」、ショッパーマーケティングの最適化をめざした店頭の販促企画検討やトライアル公式SNSの情報発信を行う部隊が在籍する「MEDIA BASE」です。
これら施設を開設するうえでは、個々での作業や研究のしやすさはもちろんですが、横連携の取りやすさという点にも非常にこだわりました。アメリカのシリコンバレーや中国の深圳などもベンチマークしており、あらゆる組織や機関の技術が結集することでさらなる発展を生むという、マイケル・E・ポーター教授が提唱する「クラスター」の形成を期待しています。宮若にさまざまな人材が集まることでクラスター効果が発生しイノベーションが起きる。そんなコミュニティをめざしているのです。
イノベーションを起こす新しい「集合体」をつくるために
ここでクラスター効果についてもう少し詳しく説明しておきましょう。
クラスター効果とは、特定部門の関連企業や、供給業者、サービス提供者、大学・自治体などが一定の地域に集積することで、競争と同時に協調が生まれ、「産業の生産性向上」「イノベーション誘発」「新規事業展開」が生まれることを指します。技術面のインフラやお客さまのニーズから生まれる知識的なデータの集積から幅広い横のつながりを形成し、そこからイノベーションを発生させる新しい「集合体」がつくり上げられる、というわけです。
言い換えれば、一つの産業領域を従来の型にとどまらない「新しいエコシステム」を形成することで活性化させる、要するに「共創」を本当の意味で実現したものと言えるでしょう。
次回はこの「共創領域」のさらに拡大をめざす、われわれの今後の動きについて詳しく触れていきます。
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