[東京 19日 ロイター] – 次世代移動サービス「MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)」のプラットフォーマーを目指してソフトバンクとトヨタ自動車が共同で設立したモネ・テクノロジーズの宮川潤一社長(ソフトバンク副社長)は19日、都内で開いた法人向けのイベントで、現在の日本は自動運転を受け入れる体制が整っていないとして、法律などを自動運転社会に向け最適化する必要があるとの認識を改めて示した。
宮川社長は「あと3年、4年経つと自動運転でハンドルのないクルマが登場してくる」と指摘。ただ「やればやるほど規制のハードルが多い」として「残念ながら、日本は自動運転を受け入れる素地がまだない」と規制緩和の必要性を訴えた。
ひとつの例として需要に応じて柔軟に運行するオンデマンドバスを挙げた。オンデマンドバスはバスの効率性とタクシーの利便性を併せ持っているが、宮川社長は「乗客数に応じて料金が安くなるようなダイナミックプライシングも法律で許されていない」と指摘。さらに1台のクルマで人や荷物を運んだり、モノを販売したりするマルチタスク機能を持たせようとすると所管する省庁が違うといった問題点も挙げた。
宮川社長は信号機など交通インフラについても触れ、「信号機の歴史は100年だが、実はあまり高度化はされていない」などとして、「道路も、信号機も、法律も、自動運転社会に向けて最適化をしていかなければいけない時期にきたのではないか」と語った。
モネはソフトバンクとトヨタ以外に、ホンダと日野自動車も出資。さらに、いすゞ自動車、スズキ、SUBARU、ダイハツ工業、マツダも8月までに出資予定で、オールジャパンでMaaS普及に向けた活動を行っている。
現在は20の自治体と連携しており、323の自治体とも連携を協議中。「来年度はだいたい100くらいの地域で実証実験を行いたい」としている。
MaaS領域での事業開発を検討するコンソーシアム会員は3月末の88社から304社(7月現在)まで拡大している。