運営が厳しいSCでも利益を出せる「ロピア多治見店」の工夫を解説!

矢野清嗣
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自社が強いカテゴリーを強化

 加工食品、酒・飲料、菓子のスペース構成比は全体の39%、加工食品は21%、酒・飲料と菓子が各9%となっている。

ロピア多治見店の売場スペース構成比
ロピア多治見店における生鮮売場のスペース構成比

 加工食品は中央で45尺を軸に9列、菓子は30尺を軸に6列、酒は2列、飲料は催事を加えると3列で、ロピアの標準店と比較すると少ない。

 調味料・乾物売場ではふりかけを21尺にわたって多彩に展開するほか、「浦島海苔」の「贅沢うにふりかけ35g」(299円)をつるしで販売していた。

 また、新たに健康食品売場を導入した。プロテインは18尺、青汁は3尺、「大塚製薬」「小林製薬」「UHA味覚糖」「DHC」の健康商品を18尺で展開する。消費者の健康への関心が強まっていることから、単価の張る新たなカテゴリーを開発したようだ。

 大容量の飲料は38品目をそろえる。「緑茶伊右衛門 2Lペット」(129円)、「お~いお茶 緑茶 PET 2L」(159円)のほか、水は「友舛飲料」の「蛍の郷の天然水2L」(59円、6本333円)を販売。売れ筋商品と価格訴求商品の両方を品揃えしている。

 酒は定番商品をコンパクトに26尺でまとめている。ワインは9尺3のうち3尺で国産ワインを展開。スパークリングワインは31品目、輸入ワインは47品目。下3段は299~999円で固め、上段の16品目を1099~3799円の価格帯で陳列する。ロピアのワイン売場でこれだけ商品を絞った店は初めて見た。競合店対策として、中途半端な品揃えとならないよう品数を絞ったのだろう。

 菓子はカテゴリー別に陳列しているが、グミは6尺と既存店よりも縮小した。菓子大袋は24尺6段で56品目を扱う。売れ筋商品は、通常価格で販売する「ロッテ」の「チョコパイパーティパック」(279円)と「ブルボン」の「アルフォトファミリーサイズ」(199円)だ。

SC出店にあたっての利益率の高い布陣

 開店後40日が経過したとあってロピア特有の大行列はなかったものの、週末は約100人が開店前に並び、夕方までお客の流れは絶えることがなかった。一般のスーパーマーケットではこうした雰囲気はなく、ロピア特有の現象なのだろう。なぜお客が入らないSCがロピアで活性化できるのか。その答えがもうすぐわかるかもしれない。

 多治見店は売上を維持していくのが厳しいSCへの出店であることを前提としている店舗だ。だからこそ、過去に力のあるチェーンが次々と撤退した現実を踏まえ、売上をどう維持し、利益が取れる店にするにはなにをすべきかという課題に向き合った売場配置と商品構成になっている。

 その対策として生鮮品は利益率が高い精肉と総菜、鮮魚の米飯を軸に構成した。日配では従来の100円以下の菓子パンは扱わず、地場メーカーとオリジナル商品で単価アップを図るなど利益率にこだわった布陣になっている。

生鮮品は利益率が高い精肉と総菜、鮮魚の米飯を軸に構成。「鮭はらこ飯」は600円だった
生鮮品は利益率が高い精肉と総菜、鮮魚の米飯を軸に構成。「鮭はらこ飯」は600円だった

 加工食品も利益率の低い酒と飲料を縮小し、ふりかけやアウトドアスパイス、たれなど自社が強みを持つカテゴリーを強化している。店舗の立地に対応したこうした柔軟性もロピアの強みの一つなのである。

(店舗概要)
所在地 岐阜県多治見市西坂町5-31-1 多治見インターモール1階
開店日 2024年1月30日
売場面積 約580坪(歩測)
営業時間 10:00~20:00
駐車台数 730台

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