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確立されたフォーマットをさらに深化! 「フーコット三芳店」の売場を解説

ヤオコー(埼玉県/川野澄人社長)の子会社フーコット(同/新井紀明社長)は埼玉県三芳町にディスカウント業態「フーコット」の5号店を1月23日に開店した。前編では生鮮3品の売場を見た。後編は総菜と日配、加工食品などの売場を見ていこう。
調査日=2024年2月10、11日 ※本文中の価格はすべて本体価格

フーコット三芳店。店の隣には大型マンションが建設中だ

“ヤオコーらしさ”が垣間見える総菜

 「フーコット」では同じくヤオコー子会社の「エイビイ」とは異なり、1号店から総菜売場を導入している。今回調査した「フーコット三芳店」(以下、三芳店)では、壁面36尺で唐揚げ、天ぷら、冷蔵ケースでサラダ、和総菜、麺、サンドイッチ、寿司を展開。サラダと和総菜、麺、サンドイッチ、いなりなどは外注で対応している。

 寿司は「1人前9貫」(598円)と「2人前18貫」(1180円)、「ローストビーフ丼」(398円)、「ビンチョウマグロ切り落とし丼」(450円)、フライでは「鶏モモ唐揚げ」(100g158円)、「あぶり焼きチキン」(298円)、「豚ヒレカツ5個」(298円)、「カキフライ5個」(248円)などをラインナップ。売れ筋を低価格で提供しており、よく売れているようだ。

 前方の平台8尺×6尺では、「ポテサラ&ベーコンピザ」(498円)、「シーフード&バジルピザ」(550円)、「てりやきチキンマヨピザ」(550円)など6品目を販売。近隣にある「ロピア」を意識した価格と品揃えであるのかもしれない。そのほか「クロワッサン3個」(360円)、「広島風お好み焼き」(320円)、「オムライス仕立てのチキンガーリックライス」(398円)などの扱いもみられた。

 後方は8尺正方形の平台では、「ローストンカツ弁当」「海老炒飯&シューマイ弁当」「鮭西京焼き海苔弁当」(各398円)、「天重」(349円)、「ロースカツ重」(298円)と、こちらもなじみのある商品を値頃感のある価格で提供する。

「ローストンカツ弁当」(398円)が298円で販売されていた

 総菜はどれもヤオコーらしさが垣間見える丁寧さが際立つ商品づくり、購入者も多い。午前中にはほぼ完売状態で、売れ筋商品の補充は行われているものの、16時頃には9割が売れてしまっていた。早い段階で値引きも実施しているようで、閉店時にはおそらく完売していることだろう。「売り切れ御免」が徹底されている。

日配売場は売れ筋中心

 日配(冷凍食品・アイスクリーム含む)売場は店舗の右側のゾーンに集約。壁面で洋日配、平場と正面壁面右サイドで練り物の和日配、中央部に冷凍食品やアイスクリームを配置している。日配売場内のスペース構成比は和日配23%、洋日配38%、冷凍食品・アイスクリーム39%だ。

※03日配売場スペース構成比の図表入れる

 和日配の麺、納豆、水物、豆腐、揚げ物は約70尺。麺は「はつかり・うどん玉1個」(39円)、「高山麺業・水沢風そば2人前」(99円)、「埼玉物産・プロ級の醤油ラーメン3食」(175円)などを訴求。納豆は12尺で33品目を扱う。「タカノフーズ・極小粒ミニ3P」、「ミリオングループ・小粒納豆3P」(59円)といった売れ筋商品を軸に訴求。豆腐は「やまみ・絹豆腐320g」(55円)、「むつみ・絹豆腐300g」(55円)、タカノフーズ「絹美人150g×3P」(77円)を提供。価格訴求を軸とした商品構成となっている。

 洋日配は右壁面奥12尺のリーチイン什器で展開。無調整牛乳1ℓは「近藤乳業・酪農牛乳」(172円)、「十勝牛乳」(199円)、「トモエ乳業・酪農牛乳」(189円)のほか、「明治・おいしい牛乳1ℓ」(228円)もある。プレーンヨーグルトは10尺29品目の扱いで「明治」「森永乳業」「雪印メグミルク」など売れ筋を価格訴求している。そのほか「古谷乳業・プレーンヨーグルト新KFC400g」(109円)、「湯田乳業・湯田ヨーグルト800g」(699円)の扱いもみられた。

おなかにやさしいA2タイプの牛乳も展開している

 冷凍食品では弁当食材約50品目を149~219円の価格帯で販売。パスタは17品目で、「オーマイ・Bigナポリタン」(189円)などを揃える。ギョーザは12品目で、「味の素」「大阪王将」などの有名ナショナルブランド(NB)のほか、韓国産の商品なども揃えている。アイスクリームは個食タイプ89円を軸に「ハーゲンダッツジャパン・ミニカップ」(各種209円)、「レディーボーデンミニ」(139円)なども安い。売れ筋の価格訴求は魅力的でお客を引き付けている。

日本酒と焼酎は地域一番の品揃え

 生鮮・日配売場以外の売場スペースは店全体の52%を占める。それを100%とすると、加工食品が36%、飲料・酒が20%、菓子は13%、催事11%。これまで出店したフーコットの店舗と比較すると、酒類・飲料の構成比が高く、催事のスペースが減っているようだ。

 調味料、乾物、カップ麺はNBの売れ筋を中心とした堅実な商品構成で、扱い商品も多い。酒類はビール系飲料や焼酎などは丸々1レーンを使って売場を展開。日本酒は18尺で、一升瓶の「獺祭」「八海山」や地酒など103本、焼酎も18尺で、「佐藤」「魔王」「二階堂」など一升瓶123本を陳列しており、地域一番の品揃えだ。ワインは399~1000円の価格帯をメインに品揃え。エンドではフルボトルワインをフランス産が699円と750円、イタリア産を448円で販売する。

 飲料も重点カテゴリーで、ケース販売を重視する。売れ筋のNB商品がベースだが、水は「友舛飲料・蛍の郷の天然水2ℓ」、「LDC・自然の恵み天然水2ℓ」(69円、6本359円)などの扱いもあった。菓子は売場スペース構成比は全体の6%とコンパクトな売場で、催事は日替わり特売や店内独自の訴求品を展開。調査日は「伊藤園・お~いお茶濃い茶600mℓ」(69円)など3品目を訴求していた。

売場の「深化」とは

 本稿前編で、三芳店はフーコット4号店「深谷店(埼玉県)」をさらに「深化」させた店舗であると述べた。「フーコット」の特徴はローコストオペレーションである。今回の調査中、週末朝に店舗を訪れ並んで入店したところ、売場で見かけたのはレジとサービスカウンター、青果作業場の担当だけで、平場ではスタッフは見られなかった。それでも生鮮・日配は完全に補充された状態で、午前中は平場の催事を補充するスタッフと商品管をチェックするスタッフしか売場にいなかった。

 また、販売では「売り切れ御免」が徹底されている。一般的に、スーパーマーケットの業界人は「欠品は罪悪だ」という感覚が染染み付いている。従業員が「売り切れ御免」へと意識を変えるには時間がかかったと推察されるが、5店目の三芳店では自然に実践できているように見えた。こうした売場の「深化」により、フーコットは出店にはずみをつけることができるか。引き続き業界人注目のフォーマットであることは間違いない。

(店舗概要)
所在地 埼玉県入間郡三芳町大字竹町沢381-6
開店日 2024年1月23日
売場面積 3428㎡(1038坪)
営業時間 10:00~7:00
駐車台数 296台