福岡・北九州の商業施設内に出店! ロピア北九州リバーウォーク店売場レポート
イトーヨーカ堂の北海道・東北・信越地方の撤退店舗を承継し、2024年も商勢圏を拡大するロピア(神奈川県/髙木勇輔代表)。同社は昨年10月、九州3店目となる「ロピア北九州リバーウォーク店」(福岡県北九州市:以下、北九州店)を昨年10月31日にオープンしている。同店ではどのような売場づくりをしているのか。現地に足を運んだ。
調査日=2023年11月26、27、28日 ※本文中の価格はすべて本体価格
博多に続き、「ダイソー」と同時出店
ロピアが出店した北九州市小倉北区は、城下町として栄えてきた歴史があり、市役所や商業施設がある市の中心部。人口は約18万人で北九州市の19.7%を占める。
2003年4月に開業した「リバーウォーク北九州」は、劇場や美術館などが入る複合型のショッピングセンター(SC)。JR「小倉」駅から徒歩約10分、小倉城の隣、柴川を挟んで地元百貨店の井筒屋と対峙する。「ロピア」はその地下1階に店を開いた。
SCの開業時、地下売場は「ダイエー」が担っていたが、駅から距離があり、「北九州の台所」として知られる「旦過市場」に近いことから苦戦を強いられ、撤退を余儀なくされた。その後も地下売場はテナントの撤退が続き、今回新たにロピアと大型店「ダイソー」の大型店(売場面積売場面積約250坪(歩測)の)が同時開店した。
昨年6月、JR「博多駅」前に出店した「ヨドバシ博多店」(福岡県福岡市)も「ダイソー」と同時出店しており、フロア全体が活性化している。「リバーウォーク北九州」には、すでに2階に100円ショップ「キャンドウ」があるが、地下にも「ダイソー」と「ロピア」を並べることで客数を増やし、地下売場を活性化したい考えとみられる。
最近は大型SCは多くが「いかに売場を埋めるか」に苦労している。撤退が相次ぎ、“歯抜け”状態になったSCにはお客も寄り付かない。ロピアの最大の強みは商圏の広さ、つまり集客力であり、ほかのテナントに及ぼす影響も大きい。ロピアの開店により、小倉地区全体が活性化するのは間違いなさそうだ。
ここからは北九州店の売場を見ていこう。売場面積は約530坪(歩測)と同社としては標準規模だが、売場配置はやや変則的だ。極端なワンウエイ方式は取っていないが、全体的にはワンウエイに誘導しているようだ。菓子や飲料、米、パンは店舗奥側で約70坪(歩測)で売場を展開しており、ほかの平場売場と分離したようなレイアウトであるため、お客は多少戸惑いそうだ。売場レイアウトで苦労したのがうかがえる。
一方、生鮮売場は青果、鮮魚、精肉が1つのゾーンのようになった生鮮一体型で売場面積は約170坪(歩測)。これに総菜約20坪(歩測)を加えた、ロピア本来の力を発揮できるレイアウトとなっている。
野菜の価格訴求で「安さ」を演出!
部門別に売場を見てみよう。青果売場は約60坪(歩測)と標準スタイルの配置で、入口近くでは旬物(調査時)のミカンを迫力ある量感でボリューム陳列。熊本県産の「大村農園」や「夢の恵」、福岡県産の「山川マイルド」のMサイズ9個、Sサイズ10個をそれぞれ399円で販売していた。イチゴ、ブドウ、ナシ、柿、リンゴ、メロンなどのほか、キウイ、バナナ、レモン、パイナップルといった輸入果実の品揃えも充実している。
野菜も圧倒的な品揃えで、調査日はレタス(1玉100円)、キャベツ(同159円)、ブロッコリー(1房129円)、大根(1本100円)、キュウリ(3本129円、7本259円)、白菜(1/2カット129円)、トマト(3個199円)、ホウレン草(99円)など売れ筋を徹底的に価格訴求しており、多くのお客が購入し、担当者は補充に追われていた。青果売場における価格訴求が、ロピアの「安さ」を強烈に印象付けている。
鮮魚売場はコンパクトな展開で、刺身と丸物は壁面24尺で、シラス、明太子、珍味は22尺で平場壁面に配置した。丸物には専任女性スタッフを配置しており、生サンマ(1尾200円、4尾590円)、真サバ(1尾300円、2尾590円)、真アジ(1尾200円、3尾555円)などを販売していた。
米飯類は18尺の展開で、週末は「魚萬にぎり寿司27貫」(3300円)、「同18貫」(2200円)、「松9貫」(1450円)、「竹9貫」(1290円)などを揃え、どれもよく売れていた。丼物では「三色丼」「甘エビいくら丼」(各890円)、「まぐろ二色丼」(690円)などを販売していた。
そのほか平台什器では、冷凍魚をベースに鮭、サバ、西京漬け、フライ、エビ、カニ、ウナギ、ホタテ貝、ホッケなどをテーマ別の商品を配置。この売場の括りもロピア独自のものである。
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