改装でロピア、アキダイとのトリプルネーム店舗に! スーパーバリュー等々力店の売場を解説

榎本 博之(経営コンサルタント事務所 アズライト代表)
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“アキダイ流”の青果売場

 ここからは主要部門の売場を見ていこう。

 入口トップの青果売場は正面にサイネージが設置され、お店の紹介とともにアキダイの“名物社長”がおすすめ商品を案内する映像で流されている。サイネージは店内にも設置されており、動画による案内はシズル感があり、購買意欲を高めている。

 商品構成、陳列展開はアキダイそのものであり、ロピアの青果部門の屋号である「八百物屋あづま」とはテイストが異なるようだ。双方ともに価格訴求が強いのは同じだが、「八百物屋あづま」は、たとえば果実などにおいて、同じアイテムでも産地違いや品種違いまで揃え、ラインロビング(特定のカテゴリーにおいて品揃えの専門性を高めることで、競合店との差別化を図ること)を狙った品揃えを展開することが多いのに対し、アキダイの場合は「梨ならこれ、桃ならこれ」と、自分たちの目利きを武器に、絞り込んだおすすめを売り込むのが特徴としている。

 ロピアと異なり、スーパーバリューの売場面積は狭いことが多いため、アイテムごとの陳列スペースに制約がある。果物の種類は豊富で、品揃えの幅があるが、割り切ってラインロビングはしておらず、奥深さはない。商品を選ぶ楽しさよりも、物の良さで衝動買いを促すのが特徴と言えるだろう。とはいえ調査日は、プラム系の果実を5種揃えており、しかもすべての商品を398円という統一した価格に設定しているなど、品揃えにメリハリをつけていた。また、店内ではカゴ盛りにした桃と梨を対面販売し、賑わいを意識した売り方を行っていたのも目を引いた。

「アキダイスタイル」は拡大可能か

 野菜はベーシックアイテムが中心であり、カット野菜も顔見せ程度で素材型の品揃えが中心となっている。購買頻度の高いAランクアイテム(キャベツ78円、レタス88円、小松菜68円など)を2ケタ売価で提供し、割安感を訴求しながら、売場全体に分散して陳列していたのが特徴的だった。また、目玉商品としてエノキ3袋100円や白ナス2本100円(写真)などを差し込み、衝動買いを狙っている。

 このように、店内をくまなく回遊してもらい、買上点数の増大を狙う売場づくりがポイントといえる。調査日は店内に3名のスタッフがおり、テキパキと仕事をこなしていた。その日に仕入れたものをその日に売り尽くす販売スタイルであり、商品化も簡素化されたものが多く、価格設定も柔軟に変更が行われていた。こうした販売スタイルの場合、現場は即断即決が求められる。これが青果部門の醍醐味ともいえるが、仕入れの在庫状況や販売動向を常に気に払う必要があり、このノウハウを一朝一夕で身に付けるのは難しい。

 今後、ロピアの店舗でもアキダイスタイルの青果売場を拡大するのであれば、「売り切り御免」の販売スタイルを確立する人材育成が不可欠となってくる。そのため、これに合わせた急激な店舗拡大には対応できないのではないかと懸念される。

 また、売り切り御免の売場づくりは、ロピアのような売場面積の広いチェーンで実現するのは現実的とは言えない。毎日売場を変更し、売り切りを行っていたら、現場に多くの人員を割く必要が出てくる。そうした面を考えると、アキダイに期待されているロピア内での役割は、青果全般の売場づくりというよりも、強みを生かした部分的な対応になってくるのではないだろうか。

 日々の買い物の中で必ずお買い得品があり、目的来店を高めるにはアキダイのやり方は理にかなっている。スーパーバリューの小型店にある青果部門においてはアキダイの拡大余地が大きいと言える。

 後編では、鮮魚、精肉、総菜の売場を解説していく。

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