ロピア(神奈川県/高木勇輔代表)は2022年11月8日、大阪府堺市に「ロピアららぽーと堺店」をオープンした。関西地区13店目、大阪府では5店目となる店舗だ。ロピアが「ららぽーと」内へ出店するのは国内では3店舗目で、2023年1月には「らららぽーと台中」にも出店している。ららぽーと堺店ではどのような挑戦が見られたのか。現地に足を運んだ。
調査日:2022年11月26、27日 ※本文中の価格はすべて本体価格
ららぽーとの開業にあわせてオープン
ロピアが今回オープンしたららぽーと堺店は大阪府堺市、阪和自動車道「美原南IC」からクルマで5分ほどの場所にある。堺市は大阪府の南部にあり、人口約81.5万人を誇る政令指定都市だ。ららぽーと堺店のある美原区は堺市の東部に位置する。
同店が入る「三井ショッピングパーク ららぽーと堺」は延床面積約14万3600㎡の大規模ショッピングセンターで、212の専門店や飲食店が入る。ららぽーと堺店は食物販エリア「Sakai FoodMarche」の核店舗で、売場面積は約680坪(歩測)と標準店よりもやや広い。
ロピアが国内の「ららぽーと」に出店するのは、「ららぽーとTOKYO-BAY」(千葉県船橋市)、「ららぽーと海老名」(神奈川県海老名市)に続く3店舗目。2023年1月に台湾でオープンする「ららぽーと台中」にも出店するなど、ロピアと「ららぽーと」には浅からぬ関係がある。関東の「ららぽーと」内店舗はどちらも連日お客でにぎわう繁盛店であり、過去の実績を評価されての出店と考えてよいだろう。
ロピアとしては、このららぽーと堺店をなんとしても成功させたいところであり、そのためか、通常ロピアの新店では大胆なチャレンジを行っているが、この店舗では既存店のノウハウを結集させ、自社の強さを最大限生かそうとしているようだ。
ららぽーと堺の開業にあわせての出店ということで、売場や作業場は、居抜き出店とは異なり、ロピアの理想形の配置になっているようだ。売場スペース構成比は、生鮮が35%、日配が12%、冷凍食品が11%の合計58%で生鮮・日配を重視した構成とみられる。
●青果 「よく売れるものを売る」という姿勢
売場を見ていこう。青果の売場面積は約65坪(歩測)で、入口から見てみて右側壁面16尺のスペースで京野菜コーナーを展開。「九条ねぎ」「聖護院大根」などを扱う。隣の30尺冷蔵ケースでは白菜やレタス、もやしなどを販売する。
平台では、手前側でブロッコリーや大根、キャベツなどを、奥側にはトマト(大玉3個299円)、キュウリ(1本50円)など目玉商品を陳列する。全体的に「量感」よりも「質感」を重視した売場となっており、価格訴求によって売れ筋商品を売り込む姿勢を感じた。
●鮮魚 対面の寿司・刺身・丸物コーナーを展開!
続く鮮魚は、果物を陳列する青果平台の裏側にマグロやサーモン、タコなどの鮮魚商品を陳列することで、青果と連動したような売場となっている。生鮮食品全体を1つの売場と見なしているのだろうか、ほかのチェーンではあまり見られないユニークな配置となっている。
鮮魚の売場面積は約45坪(歩測)で、関西ではもはや恒例となった「対面寿司バイキング」「対面刺身」「丸物」を展開する。
壁面に配置した対面の刺身コーナーでは「めばちまぐろ中とろ」(790円)、「甘エビ」(500円)など20品、同じく壁面の寿司バイキングでは「本まぐろ中とろ」(250円)、「生えび」(200円)など29品目を販売。
平場で展開する丸物コーナーでは「すずき」「真鯛」「金目鯛」「真あじ」「殻付き牡蠣」などを販売。エンドでは、「うなぎ丼」「しらすご飯」(各250円)、「焼き魚弁当」(990円)、「西京焼弁当」(790円)など総菜も販売していた。
●総菜 売れ筋中心の商品構成
総菜は鮮魚と精肉のあいだで売場を展開する。総菜は取り扱い商品を絞ったシンプルな売場だが、ユニークなロピアオリジナル商品で個性を打ち出している。
左壁面18尺のスペースでは人気商品のピザをベースに、グラタンや厚焼き玉子などを販売。平場では、エンドで限定販売の「ラブラブミックスグリル」(1111円)などを陳列する。16尺の平台冷蔵ケースでは、「ファミリーサラダチキン」(1111円)などのサラダ関連商品を揃えていた。その隣の6尺冷凍ケースでは、グループ企業である利恵産業が製造する「ナンピッツア2枚」(600円)、「台湾屋台飯ハーローハンの具2食」「沖縄ソーキと味しみ大根煮2食」(各650円)など冷凍総菜3品目を新たに導入していた。
●精肉 標準スタイルの売場を展開!
精肉売場は約65坪(歩測)で、ロピアの標準スタイルを踏襲した売場となっている。国産豚肉はセンター納品が中心で、常に商品が補充されており、ロピアでは珍しく品切れが見られなかった。輸入豚肉は一部店内加工商品も織り交ぜ、「メガ盛」商品を豊富に揃えていた。
鶏肉も「桜島とり」はセンター納品だったが、「メガ盛」は店内加工の「四国匠とり」で対応するなど臨機応変な対応がとられているようだ。平台のエンドでは広告商品を訴求しており、営業時間中はスタッフが常時補充を行っていた。来店客の買物カゴを見ていても精肉商品の購入が圧倒的に多く、お客はロピアの精肉に期待して店舗をと訪れていることを改めて認識させられた。
そのほか売場では、牛肉や自社製のベーコンなどの試食販売を積極的に実施していた。試食商品をみると1つひとつの量が多く、多くのお客が実際に商品を試していた。ロピアではおなじみの光景である。
他店にはない「一体感」が見られた生鮮ゾーン
ロピアの「生鮮ゾーン」は青果・鮮魚・精肉・総菜がそれぞれ独立した形態が多いが、ららぽーと堺店では、これらの4部門が連動したような売場となっており「一体感」のようなものを感じた。
前述の青果と連動した鮮魚導入部の売場配置や、平台を多用した回遊性の高い売レイアウトによって、入口の青果から生鮮ゾーン奥の精肉までスムーズにお客が流れており、生鮮ゾーン全体ににぎわいをもたらしていた。ロピアが掲げる「生鮮専門店」を体現した売場と言えよう。
後編では、日配・加工商品・冷凍食品などの売場を見ていきたい。
(店舗概要)
所在地 大阪府堺市美原区黒山22-1
開店日 2022年11月8日
売場面積 約680坪(歩測)
営業時間 10:00~21:00
駐車台数 3050台