ロピア(神奈川)は2020年5月18日、埼玉県鴻巣市に「ロピア吹上店(以下、吹上店)」をオープンした。近年、破竹の勢いで出店を続ける同社。今期初出店の同店ではどのような売場づくりをしているのか。前編では、青果・鮮魚・総菜売場をレポートした。後編では、精肉、加工食品、日配売場を見ていく。
(調査日:5月24、28日)
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他チェーンには真似できない圧倒的安さ
ロピアの看板部門である精肉売場は、青果・総菜・鮮魚と続き、主通路上の生鮮ゾーンの最奥で展開する。調査日の週は日替わり販促の目玉商品として、黒毛和牛で「切り落とし(かた・もも・ばら)」(100g298円)、「(5等級)肩切り落とし焼肉用」(100g398円)、「(5等級)モモステーキ」(100g398円)、「(4等級)みなもと牛切り落とし(かた・もも・ばら)」(100g278円)などを訴求。この安さはほかのチェーンではおそらく真似できないだろう。
国産牛の産地は、「黒毛和牛5等級」が熊本産、岩手産、4等級「みなもと牛」が北海道産、福島産、栃木産、輸入牛はオーストラリア産、米国産を揃える。豚肉はセンター加工で、千葉県産の三元豚を品揃えの軸としている。輸入豚はカナダ産、スペイン産を品揃えしており、ラム肉はニュージランド産。店内加工で提供する鶏肉は、宮城産の「森のなごみ鶏」を販売する。豚、鶏でも日替わりセールを実施しており、売場の目玉となっている。
生鮮ゾーンはロピアの真髄!
精肉を含めたこの生鮮ゾーンこそ、売上と利益を生み出す源泉であり、食品スーパーチェーンとしてのロピアの特徴を体現している。「ディスカウントスーパー」のイメージが強いロピアだが、生鮮ゾーンはまるで生鮮食品専門店が集合しているようであり、売場には一体感のようなものがある。ロピアの「売場演出の妙」と言えるだろうか。
日本の食品スーパーは、米国で基礎を学んだこともあって、とくに生鮮食品売場は店舗壁面の“線”として捉えていることが多い。その一方で、ロピアは生鮮売場を線ではなく“面”でとらえており、アジア諸国の市場のようなカオスな雰囲気をうまく演出している。
このような売場スタイルを取るためには「強い商品」が必須となる。ロピアでは、とくに生鮮部門において、挑戦的な商品開発を続けている。国内の食品スーパーの生鮮食品売場は、そのほとんどが売れ筋商品中心の画一的な売場となっており、魅力を失いつつある。ロピアの個性あふれる生鮮食品売場は強烈な差別化要素となっており、ロピアの真髄と言っていい。
おなじみのバンドル販売も実施
日配売場は壁面で展開する。86尺の和日配売場は、売れ筋のナショナルブランド(NB)とプライベートブランド(PB)を絡めた、オーソドックスな商品構成となっている。納豆は「タカノフーズ・極小粒納豆3P」(50円)、豆腐は「ハギワラ・北海道大豆使用350g×2」(109円)、漬物では、ロピアオリジナルの「お肉屋さんのキムチ500g」(189円)と、価格訴求に力を入れる。
洋日配売場では、傘下の利恵産業(神奈川)が製造するスイーツをエンドを使ってコーナー展開。名物商品である「伝説のチーズケーキ」「焼チーズケーキ」のほか、「カフェゼリープリンチーズケーキ」「クラッシンクプリン」「クリームソーダゼリー」など13品目を揃える。
ヨーグルトでは、「明治・プロビオヨーグルトR-1」をロピアではおなじみのバンドル販売を売り込む。レギュラーのヨーグルトタイプは10個1099円、ドリンクタイプは12本1188円で販売。この販促はロピア全店で実施しており、おそらくどの店舗も地域NO.1の販売量であると思われる。そのほかにも、各カテゴリーで価格訴求を実施している。
独自性あふれる非生鮮商品
冷凍食品売場では、オープン日から8月31日までの期間、「冷凍食品6割引」「アイスクリーム4割引」セールを実施。ロピアならではの強烈な低価格販促だ。査日は「ハーゲンダッツジャパン・ミニカップ」を1000個限定・1家族8個限定ではあるものの4個500円で販売。ほかのチェーンでは考えられない価格設定であり、ディスカウントスーパー・ロピアの面目躍如と言える。
そのほか、「冷凍野菜」「ピザ」ではグループの専門商社ユーラスが輸入した商品を豊富に揃える。ユーラスでは輸入ワインなどの扱いもあり、ロピアの品揃え構築には欠かせない存在となっている。このユーラスによる独自性あふれる非生鮮商品もロピアの強みである
加工食品・酒類・菓子売場は、3尺27本の長いゴンドラ11列で展開する。加工食品では「キユーピー・マヨネーズ450g」(159円)、「日清食品・カップヌードルしょうゆ」(109円)、「ハウス食品・バーモントカレー230g」(99円)など、ここでも他店を圧倒する価格訴求を実施していた。
菓子では「ロッテ・チョコパイ9個」、「ネスレ日本・キットカット11枚」、「不二家・カントリーマアム26枚」など、大袋菓子62品目を3個500円で販売。飲料では、毎日500箱限定で「サントリー・伊右衛門2L✕6本」(399円)、ロピアオリジナルの「炭酸水500ml✕24本」(999円)、酒は「サントリー・角瓶700ml」(1200円)、「アサヒビール・スーパードライ350ml✕6缶」(1013円)、「サントリー・金麦350ml✕6缶」(563円)など安さのアピールに余念がない。
コロナ禍でもロピアの勢いは止まらず!
調査日に配布していたチラシを見ると、「一度ロピアを見て頂きたい想いで、オープン価格を決めました!」と大きく記し、目玉商品を掲出していた。売場全体を通じて、吹上店では「ロピアは安い」というイメージをお客の意識に叩き込むような挑戦的な価格設定が目を引く。おそらくだが、お客の大多数が過去に経験したことがない安さであると思われ、オープニング期間中にお客を一気にファンにしてしまうだろう。
6月に千葉県成田市の京成電鉄本線「公津の杜」駅近くの商業施設内に「ロピア成田店」の出店を予定するなど、コロナ禍でもロピアの出店は止まらないようだ。最近は商業施設の核店舗としての出店が目立つロピア。今後は、コロナ禍でショッピングセンターの空きテナントが増える可能性が指摘されており、ロピアにとっては大きな出店チャンスになるだろう。今後もロピアの存在感は大きくなっていくのが間違いない。
(店舗概要)
店名 ロピア吹上店
開店日 2020年5月18日
住所 埼玉県鴻巣市袋字道上90-1 FUJI MALL1F
アクセス JR高崎線「北鴻巣」駅から徒歩約20分、クルマで5分
店舗面積 約500坪(歩測)
営業時間 10:00~20:00
駐車場 1018台(モール全体)