オフィス街に突然現れる青果店 ファミリー層をあえて狙わない「旬八」の出店戦略
エリアの「隠されたニーズ」掘り起す
見方を変えれば、「旬八」は、いわゆる「青果店がありそう」なエリアには出店していません。商店街があって、子どものいるファミリー層がたくさん居住している、そういったエリアを狙っていないことは確かです。
むしろ、都会のど真ん中で、個人店がほとんど姿を消してチェーン店だらけになってしまった、昔ながらの青果店がなくなってしまったようなエリアに出店しています。これも揺り戻しというか、時代が一周してまた純粋な青果店が都会に戻ってきているということだと思います。
コンビニやスーパーマーケットなどは便利ではありますが、もっと新鮮で美味しいものを安く食べたいと思うと、街の精肉店や鮮魚店、青果店で買いたいと思いますよね。ただ、そういったお店は都心では減っています。だからこそ、そんな都心のエリアで青果店を始めることで、注目も浴びますし、潜在化されていた客層のニーズに応えることもできるのです。
昼食をコンビニの弁当や安いチェーン店のランチで済ませるビジネスパーソンは少なくありません。ただ、彼らもできれば体に良くて美味しいもの、それをリーズナブルに食べたいと思っているはずです。
青果店であることで、「旬八」の野菜の新鮮さや美味しさは伝えられます。野菜を売ることはもちろんですが、お弁当やビュッフェを通して、少しでも美味しい食事、健康な食事を忙しく働く人たちに提供したい。そのために最適なオフィス街ど真ん中のエリアで勝負しているのだと思います。
エリアごとに隠れたニーズはまだまだあるでしょう。そのエリアのニーズをどう発掘して、店舗展開していくのか。「こんなところでこの手のお店をやっても無理だろう」ではなく、「こんなエリアだからこそ、こんなお店が求められているはず」という発想の転換が必要です。