造船所跡再開発のラストピース、「豊洲セイルパーク」の商業エリアをレポート!

取材・文:西岡 克(フリーランスライター)

豊洲23丁目の再開発は完成へ

 豊洲セイルパーク内には、ベンチャー企業向けのインキュベーション施設「LIFESTYLE LAB “TOYONOMA”」も9月に開設される。場所は2階部分で、文具メーカーのコクヨ(大阪府/黒田英邦社長)が運営を担う。時間貸しから月額契約まで柔軟に対応する仕組みだ。

 総床面積は約1500㎡で、大会議室や厨房設備付きのテストキッチンなどを備える。ここで開発された製品やサービスは、同施設に隣接するシェア企業寮の入居者が日常生活のなかで試用できる。また、地域住民やオフィス勤務者など豊洲セイルパークの訪問者の声を生かし、テストマーケティングも行えるようにする。

 シェア企業寮「TRIAL HOUSE “TAMESU”」は、大屋根広場を含む商業ゾーンの背後にあたる38階に配置され、GOODTIME(東京都/明山淳也社長)が運営する。居室はワンルーム中心の39室で、屋上には入居者が利用できる菜園も備えている。

異なる企業の若手社員を中心に入居するシェア型企業寮には、約30坪のダイニングラウンジも併設。入居者の交流拠点としての役割が期待されている
晴海通りに面し、2棟のオフィスビルをつなぐ位置にあるのが、約700㎡の大屋根広場。商業ゾーンの1~2階の店舗が周囲を囲み、ファミリー向けのイベントなども開催される予定だ

 この豊洲23丁目エリアは、かつて旧・石川島播磨重工業(現・IHI)の造船所や技術開発拠点があった地域だ。02年の造船所閉鎖をきっかけに再開発が本格化し、0610月には第一工場跡地であるアーバンドックにて、三井不動産(東京都/植田俊社長)が大型商業施設「ららぽーと豊洲」を開業。以降、超高層マンションや複合ビルの建設が続いてきた。今回の「豊洲セイルパーク」の開業により、豊洲23丁目における再開発はひとつの節目を迎えることになる。

豊洲セイルパークビルの4~15階はオフィスフロアで、眺望を生かしたバルコニーを備える。隣接するららぽーと豊洲やドック広場、さらに遠くにはレインボーブリッジも望める

 なお、三菱地所とIHIはこれまでにも、108月竣工の「豊洲フロント」、147月竣工の「豊洲フォレシア」(いずれも豊洲3丁目)において共同開発を実施しており、「豊洲セイルパーク」は両社による3件目の共同プロジェクトとなる。

【施設情報】

豊洲セイルパーク きんでん豊洲ビル(A棟)

  • 所在地…東京都江東区豊洲2-14-1
  • 建物……地下1階、地上18階、塔屋1階
  • 敷地面積…約6600
  • 延べ床面積…約47000
  • 用途……事務所、展示スペース、駐車場
  • 竣工年月…259月(予定)

豊洲セイルパークビル(B棟)

  • 所在地…東京都江東区豊洲2-14-2,4,5
  • 建物……地下1階、地上15階、塔屋1階
  • 敷地面積…約12893
  • 延べ床面積…約89000
  • 用途……事務所、インキュベーション施設、店舗、シェア企業寮、駐車場
  • 竣工年月…256

商業ゾーン

  • 階層……1~2階
  • 店舗面積…約1100坪(約3640㎡)
  • テナント数…21店(うち3店は2511月以降開業)
  • 開業年月…25724
  • 営業時間…7時~23時(一部営業時間が異なる)
  • 駐車台数…車158台、バイク11
  • 駐輪台数…209
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