2023年6月に「博多ヨドバシ店」(福岡県福岡市)を出店し、九州進出を果たしたロピア(神奈川県/髙木勇輔代表)。その後も矢継ぎ早に出店を重ね、23年11月には福岡県4店舗目となる「筑紫野シュロアモール店」(筑紫野市:以下、筑紫野店)をオープンしている。同店ではどのような売場づくりをしているのだろうか。
調査日=2023年12月17、18、19日 ※本文中の価格はすべて本体価格
大型SCが居並ぶ激戦区に出店
筑紫野市は、福岡県中西部に位置し佐賀県に隣接する。人口は約10万6000人。市内には「イオンモール」「ゆめタウン」「ベレッサ」「シュロアモール」などの大型ショッピングセンター(SC)があり、地域競合が激しい。
今回ロピアが出店した「シュロアモール筑紫野」は敷地面積約14万8000㎡の広さに「Mr.Max」「エディオン」「西松屋」「ツタヤ」「ダイソー」などの専門店が並ぶSCで、2007年7月に開業した。隣接地には、「ヤマダデンキテックランドNew筑紫野基山店」がある。
今回は、開店から約1カ月後が経過した日・月・火曜に調査を行ったが、オープン時間が近づくと店前の駐車場はクルマで埋まり、週末は終日ほぼ満車状態だった。クルマのナンバーを見ると「福岡」が目立つが「久留米」「佐賀」も多く商圏の広さがうかがえる。
周辺の競合状況に目を向けると、「ルミエール」の屋号で福岡県に23店舗を展開する(福岡県/三角勝信社長)が2012年12月にSC「筑紫野ベレッサ」1階に売場面積約800坪の大型店「ルミエール筑紫野店」を開店。ロピア筑紫野店から直線距離で約400mの場所で競合する。
筑紫野店の売場面積は約560坪(歩測)と同社としては標準規模。売場中央に2階への階段とエレベーターがあるなどやや変則的な売場だが、おなじみの「生鮮ゾーン」は十分に確保されている。商品構成は標準的なスタイルであるようだ。
売場配置は入口から見て左側に青果、鮮魚、総菜、精肉をひとまとめにした「生鮮一体型」の配置で、生鮮ゾーンの売場面積は約170坪(歩測)。売場スペース構成比は37%で、日配22%と合わせるとほぼ60%と、ロピアの標準的なスタイルとなっている。
青果では激しい価格競争
部門別に売場を見ていこう。青果売場は約50坪(歩測)で、左壁面冷蔵ケース30尺でレタス(100円)、ホウレンソウ(99円)、モヤシなどを展開。入口壁面に30尺でバナナ、パイナップルなどの輸入果実を並べる。右平場サイドでは24尺でキャベツ(159円)、大根(100円)などを陳列する。
縦型の平台3台にはイチゴの「さがほのか」(499円)や「あまおう」(599円)、「ミカン1袋」(599円)などを置く。それに続く24尺平台では白菜(1/2カット59円、1玉250円)、ブロッコリー(100円)やジャガイモ、玉ネギなどを配置していた。
価格は売れ筋商品はいずれも安く設定されているが、競合する「ルミエール筑紫野店」と比較すると多少高めの商品もみられた。それほど「ルミエール」の攻勢がすさまじいことがうかがえる。
鮮魚売場は約30尺(歩測)とコンパクトな展開で、左壁面12尺で「生真ダラ切り身100g」(150円)や活さざえ、活あわび、「赤えび1盛り」(1000円)などを対面販売する。また、12尺のスペースで「魚萬にぎり寿司」(27貫3000円、18貫2300円、9貫1290円・1450円)や「はみだし巻」「ほたていくら丼」(990円)、「まぐろ二色丼」(790円)などの米飯類を販売していた。
平場の前方平台はエンドで刺身用のブリやアトランティクサーモン、サイドでタコ、スジコ、ウニ、背面ではタイ、カンパチ、本マグロなど刺し身用冊を展開している。鮮魚売場のこのラインはロピア独自のスタイルであると共に「ルミエール対策」でもあるとみられる。そのほか、平台冷凍ケースで正月用(※調査時は23年12月)のタラバカニ、ズワイガニ、エビ、フライやウナギかば焼き、西京漬け、鮭、サバなどを揃えるほか、冷凍魚も充実している。
平場壁面24尺ではヒジキ、ちりめん、明太子、珍味、数の子などを販売。とくに利益率の高いオリジナルの珍味は売場内でも存在感がある。全体的に売れ筋中心のコンパクトな展開で「何を売るか」が明確な、堅実な構成となっている。
まるで専門店のようなピザは強力
総菜売場はシンプルな売場配置となっており、壁面8尺でピザコーナーを展開。調査日は「マルゲリータ」(399円)を特売価格で提供しており、週末は「補充即完売」状態で売場の前はまるで人気のピザ専門店のようにお客が待機していた。
6尺の冷蔵ケースではフランス直輸入の「タルト」(4品目500~888円)を販売するほか、平台縦6尺・横12尺では米飯やフライ、焼き鳥、シュウマイなどを展開。平台冷蔵ケース6尺ではグループ企業の利恵産業の総菜を揃える。14尺の平場ではデザートとサラダなどを配置する。既存店では大容量商品の展開が目立つロピアだが、筑紫野店では適量で回転率の高い売れ筋商品をコンパクトに品揃えしている。とくにピザの存在は大きい。
精肉売場は約70坪(歩測)で、左壁面は56尺で牛肉を展開。「黒毛和牛」「みなもと牛」のほか、ローストビーフ、ブロック肉、ステーキ、切り落とし、焼肉などを提案。日替わり商品は平台エンドで展開する。
豚肉は正面の36尺で展開。ロピアの高槻精肉プロセスセンターから供給する商品をベースに構成する。平台のエンドには日替わり特売商品を配置。前方の平台では店内加工の「メガ盛り」「プルコギ」を配置するほか、輸入豚・牛商品も展開する。中央の平台は「豚メガ盛り」「博多地鶏」「鶏肉」を、後方は「みなもと鶏」、背面は「北京ダック」「ホルモン」などの冷凍肉を配置する。鶏肉は店内加工。平場冷蔵ケース48尺で加工肉を展開するほぼモデルスタイルの配置で「冷凍肉」は絞った。
精肉売場では、ロピアの力が十分に発揮されている。競合店のルミエールにとっては対策が難しい鬼門の売場であると言える。
後編では日配・加工食品などの売場を見ていきたい。
(店舗概要)
所在地 福岡県筑紫野市大字原田836-4
開店日 2023年11月22日
売場面積 約560坪(歩測)
営業時間 10:00~20:00
駐車台数 約1600台