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ディスカウント激戦区であえて高質路線 オークワ新店「メッサオークワ岩出店」の売場づくりとは

オークワ(和歌山県/大桑弘嗣社長)は10月28日、和歌山県岩出市に「メッサオークワ岩出店」をオープンした。高質スーパーマーケットの「メッサ」業態としては7店舗目となる。開店初日の売場の様子をレポートする。

「メッサオークワ岩出店」の外観。

めざすのは遠方客からリピートしてもらえる“程よい高級感”

 メッサオークワ岩出店はJR「岩出」駅から北西に1km、岩出バイパス沿いのショッピングセンター「フォレストモール」の一角に位置する。2020年9月に閉店した「オークワミレニアシティ岩出」跡地だ。周辺は、和歌山市や大阪府下のベッドタウンとして発展してきたエリアで、半径3キロ圏内には1万9400世帯、4万4900人が住んでいる。

 近隣には「ザ・ロウズ岩出北店」「NEX岩出中迫店」「イズミヤスーパーセンター紀伊川辺店」などのディスカウントストアが出店している価格競争を余儀なくされる環境ではあるが、高質スーパーマーケットとしてメッサ岩出店は価格競争に参入するのではなく、競合他店にはないほどよく高質な商品を取り扱うことで差別化を図るとともに、比較的広域からの集客をめざす。

PB「オークワプレミアム」の新商品を開発

 岩出店の出店にあたってまず取り組んだのは、プライベートブランド(PB)商品「オークワプレミアム」の新商品開発だ。「オーガニックエクストラバージンオリーブオイル」や「伊勢志摩海苔」などを新たに発表したが、目玉は、県下で人気を誇る、岩出市のフランス料理店「ビストロ・ムッシュ」の小谷壮彦シェフと共同開発したドレッシング。トマト・にんじん・和風(各298円)と、柚子(378円)の4種を揃える。

ドレッシングは専用の棚で販売。

店内調理品にも注力

 店内調理品にも力を入れる。今年3月にオープンしたばかりの「オークワ中津川中村店」(岐阜県中津川市)で新規導入し好評を博した、店内で生地から作る食パンやベーグルも販売する。メッサ業態では初の試みだ。

 総菜には、既存店舗で人気の「シェフ監修」の弁当「ふわトロ卵のオムライス」(398円)、「国産牛ステーキ中」(598円)のほか、新アイテムとして、先述のオリジナルドレッシングを使用したサラダ「トマト&モッツァレラ&生ハムの彩りサラダ 小」(378円)も品揃えする。


女性目線で開発した商品も続々

「女性目線」を取り入れるため、日配、お菓子、総菜、ベーカリー、ギフトの各カテゴリーで女性バイヤーを1人ずつ登用。女性の目線を意識した商品の揃えが実現したという。フルーツサンド風味フィナンシェ(458円)や、チーズをふんだんに用いた総菜「とろ~りチーズで食べるグリル野菜チキン」(398円)など、女性に好まれやすいジャンルの『ちょっといい』商品も新たに揃えた。また、陳列にも携わり、工夫を凝らした。

女性バイヤーが担当したワインの陳列棚。

 さらに、フェアトレード商品や、循環型飼料で肥育された精肉商品など、SDGs(持続可能な開発目標)を意識した商品も取り揃えるが、これも女性バイヤーからの提案によるものだという。「SDGsという付加価値を感じていただけたら」と大桑弘嗣社長は期待を込める。

豆腐やミカンジュース、湯浅醤油を製造するときに出た副産物で育てた「紀州和歌牛」。

商品発信にも工夫を凝らす

「これまでは『食べていただければよさをわかってもらえる』という信念が強いあまり、自慢の商品を訴求しきれていなかったのではないか」(大桑弘嗣社長)と、新店舗では商品訴求にも力を入れる。黒色の大きなPOPを陳列棚の上に配し、商品のPRポイントを具体的に記した。

陳列棚上部に設置されたPOP。

 また、PB商品である日本酒「関谷醸造とオークワでつくった純米吟醸酒 生酒」の銘柄ラベルには、味わいやこだわりポイントをしっかりと記し、商品の価値を顧客に伝えるための工夫を凝らす。

「関谷醸造とオークワでつくった純米吟醸酒 生酒」1580円。

今回の出店にあたっての総投資額は約10億円、 投資回収は12年を見込む。売上高目標は初年度20億円、4年後には24億円強を目標とする。「程よい高級感」で、近辺のディスカウントストアと差別化を図ろうとするメッサオークワ岩出店の商品政策(MD)に注目が集まる。

(店舗概要)
開店日 2022年 10月 28日
所在地 和歌山県岩出市中迫147
延床面積 約1341坪
店舗面積 約904坪
駐車台数 約445台
駐車台数 445台
営業時間9:00~21:45
年商目標 20億円
店長 名手 直起
従業員数 108人(社員23人、パート・アルバイト8h換算85人)