時計売場の売上が30%増!松坂屋名古屋店が「高級腕時計」に注力するねらいとは

堀尾大悟
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コロナ禍で高まった高級腕時計への関心

腕時計バイヤー
時計バイヤーの長谷川明宏氏

 松坂屋名古屋店が、この時計売場の全面拡張を検討し始めたのは、新型コロナウイルスの感染拡大前の20199月にさかのぼる。

 「実はコロナ禍に入る前から、時計の売上は伸びており、特に高級腕時計への関心が高まっていた」

 同店の時計バイヤー(本社 営業本部  MDコンテンツ開発第1部 松坂屋名古屋店 時計・メガネ担当)である長谷川明宏氏は、当時をこう振り返る。とりわけ松坂屋名古屋店は富裕層を対象とした外商部門に強みを持ち、高級腕時計の品ぞろえには定評があった。それが、近年では20代~30代の若年層にも、ロレックスなどを中心に高級腕時計への人気が広まりつつあったという。「その動きがコロナ禍に入っていよいよ本格化してきている」と長谷川氏は言葉を続ける。

 「理由はさまざま考えられるが、コロナ禍に入ってから、より信頼できるブランドをお客さまが求めるようになっている。また、通常は200300万円台の時計を購入していたお客さまが1000万円台の時計を購入するケースも増えている」(長谷川氏)

 Apple Watch(アップルウォッチ)に代表されるスマートウォッチの普及で、従来の腕時計が売れていないかというと、実態はそうではないのだ。現に、一般社団法人日本時計協会の統計によると、2021年の輸入腕時計の数量は約1300万個と対前年比で7 %減少しているものの、金額ベースでは5857億円と17% 増加した。単純計算では、1本あたりの購入額が25%以上も上がったことになる。海外旅行を控えていた中で高額商品へ消費が向かったことや、昨今の円安傾向から実物資産としての高級腕時計への関心が高まったことなども背景にはあるだろう。

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