イトーヨーカ堂のGMS改革が常に実を結ぶ?衣食住をワンフロアで展開する幕張店を徹底解説
総合スーパー(GMS)店舗の構造改革も山場を迎えつつあるイトーヨーカ堂(東京都/山本哲也社長)。そんな同社が2022年7月6日に改装グランドオープンしたのが千葉県千葉市の「イトーヨーカドー幕張店」(以下、幕張店)だ。非食品売場を改装した同店では、商圏に多い若いファミリー層の支持を拡大すべく、ワンストップショッピングができるように直営売場を1階に集約。衣料品や雑貨などで提案型の売場づくりにも注力し、商圏ニーズにあわせた改革を実行している。
イトーヨーカドー幕張店
高さのある什器で品揃えを確保
幕張店は、JR総武本線「幕張」駅より徒歩約10分の場所にある。同店のある幕張エリアはイオン(千葉県/吉田昭夫社長)が本社を構える“お膝元”で、「イオンスタイル幕張新都心」「イオンスタイル幕張ベイパーク」などイオングループの店舗が点在している。
こうした競争が激しいエリアながら、幕張店の食品売場は全128店舗(22年5月末時点)中トップ5に入る好業績を収めていた。しかしその一方で、衣料品や住居関連品などの非食品の順位は食品に比べて低いという。本稿では、今回の改装でテコ入れを行った非食品売場を中心に解説する。
幕張店の来店客は、これまで50代以上が多く、若年層の集客が課題だった。そこで今回の改装では、商圏内に多いもののあまり集客できていなかった30~40代のファミリー層を主要ターゲットに設定した。忙しい子育て世代に向けて、時短でワンストップショッピングできる利便性を追求し、直営売場を集約。もともとは1階と2階に直営売場が分かれていたが、1階で衣食住すべての商品が購入できるようにレイアウトを変更し、2階はテナントのみで構成した。テナントは100円ショップの「ダイソー」や幕張地区初出店の「ロフト」など若いファミリー層に支持が高い店舗を新規に誘致したほか、子供向け知育玩具を導入した「くまざわ書店」や遊び場スペースを拡大した「アカチャンホンポ」など従来のテナントもファミリー層の支持拡大をめざして売場や商品を変更している。
直営売場面積は846坪で改装前の69%に減少したが、高さのある什器を導入し積載効率を高めるなどの工夫により、アイテム数は改装前の81%にまで減少幅を抑えることに成功。必要なものが1カ所で購入できるように品揃えを可能な限り確保した。
食品事業部と共同で売場づくりに取り組む
売場づくりでは、