PB開発競争は成熟期に突入? 専門コンサル企業が提言するPB進化の方向性
競争激化を背景に、食品小売業界では、商品面での独自性を打ち出す手段として、プライベートブランド(PB)商品の開発強化と品揃え拡充に取り組むトレンドがしばらく続いていた。ただ、昨今の物価高を背景に、これまで積極的にPBを展開してきた食品小売の意識に少し変化が見られているという。食品小売のPB・留め型商品の企画・開発・製造をサポートするukka(ウッカ:東京都/谷川佳代表)の担当者に話を聞いた。
大手メーカー担当者「PBはやり切った」
「最近は、PBの商品開発に先進的に取り組んできた大手チェーンの商品開発担当者から『PBの商品開発はもうやり切った』との声がいくつか聞かれるようになっている」

そう話すのは、ukka執行役員co-buy事業部部長の小畑孝輔氏だ。食品小売企業に向けてPB・留め型商品の企画・開発・製造をサポートするプラットフォーム「FOOVEST(フーベスト)」を運営する同社。小畑氏は現在の食品PBの状況について、「マクロの視点ではPBは一巡し、市場として成熟期に差し掛かっているのではないか」と分析する。
その一方で、食品スーパー(SM)では「新商品をどんどん導入したい」というニーズが根強くある。インフレ下で価格転嫁が進んだものの、ナショナルブランド(NB)商品では仕入価格の上昇分をすべて売価に反映させることは難しいのが現状だ。小畑氏は「(PBの)新商品を出すことで、コスト上昇分を価格に反映できるという側面もある」との見解を示す。
PB商品は個社の独自性を出し、売場での差別化につながるという点で大いにメリットがある反面、製造・包材などで一定のロットが必要であることに加え、発売までのリードタイムが長いなどのデメリットもある。また、「PB商品開発のための人員体制を十分確保できない」「製造委託先となるメーカーが見つからない」などの課題を抱えるSMも少なくない。
これに対し、メーカーが特定の小売業に向けて製造する商品、いわゆる「留め型商品」は、商品の独自性を担保しながら、PB商品のデメリットや課題をクリアできる可能性を秘めている。小ロットから発注でき、短期間で開発もできるため、新商品としてよりスムーズに導入しやすいためだ。
小畑氏は「SM各社では、これまでPBの商品開発を強化する流れの中で、PBのメリットやデメリット、課題についての経験値が蓄積されている」とし、「最近では『商品面での独自性さえ出せれば、PB商品にこだわらず、留め型商品でもよい』という考えが広がりつつあり、留め型商品の引き合いが増えている」と話す。
収益性の観点でも、値入れ率の高い留め型商品は、インフレ下の新商品として適している。実際にあるリージョナルチェーンでは、
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