無印良品の2025春夏の新商品を紹介！

良品計画（東京都／清水智社長）は、2024年12月11～12日に「無印良品」の25年春夏商品展示会を実施した。この展示会では生活雑貨と食品の新商品が発表された。とくに生活雑貨は、自然由来の原料にこだわった洗剤などの日用消耗品や、夏の猛暑を見越した季節商品の品揃えを強化した。

第二創業の挑戦、カギは日用消耗品

　「第二創業」を掲げる良品計画は、2022年8月期から始まる中期経営計画の中で、「日常生活になくてはならない存在」として「無印良品」の強化を進めている。めざすのは、生活に必要な基本商品がひととおり手に入り、顧客が週に何度も来店したくなるような品揃えである。

　同社は、この目標に向けて商品開発に重点的に取り組んできた。商品開発は、市場規模や売上見込みの大きさではなく、「感じ良い暮らしの実現」という会社のミッションをいかに達成するかという考え方で進められる。

　この考え方に基づいて、生活雑貨は2つの軸で展開する。1つ目は掃除用品やタオルなどの「生活のど定番」商品、2つ目はフレグランスやペット用品などの「自分のケア、健やかな生活」に関連する商品である。

　約3年前から日用消耗品をはじめとして前者の品揃えを充実させてきた。その結果は一昨年前から業績にも表れ始め、24年9月以降は主要カテゴリーとして売場を拡大するほどまでに成長している。

　引き続き25年春夏も、生活の定番商品を重視する流れは変わらない。生活雑貨部小物雑貨担当部長の大箸万里子氏は「売場での反応を見ると、定番商品と生活に潤いをもたらす商品のどちらも必要だと実感している。しかし、消耗頻度が早いものがお客さまに圧倒的に求められているのも事実だ。生活を潤す要素は、あくまで定番商品の基本があってこそのものだと考えている」と話す。

定番商品の進化、夏の猛暑対策も

　25年春夏は、28カテゴリーで新商品を発表した。品目数は約380SKUに上る。

　新商品のテーマは、2つある。

　1つ目は定番商品の進化だ。消耗頻度が早い定番商品は自然由来の成分にこだわることで、環境に配慮し、人の体にも優しい内容へとリニューアルした。

　たとえば洗剤は、排水後に自然に戻りやすい生分解性のある植物由来の成分を使用している。食器用洗剤は野菜まで洗うことも可能だ。詰め替え用の容器もデザインを一新して、使いやすい仕様にした。たとえば、取り違えがないように商品ごとにパッケージのカラーを目立たせたり、狭い収納棚にも収まりやすいサイズに変えた。

　2つ目のテーマは季節商品の拡充だ。同社は、長引く夏の猛暑に対処する季節商品の開発も、重要課題に位置づけている。冷感素材の「ひんやり」シリーズや、イ草を使用した商品は、品揃えを拡充した。「ひんやり」シリーズは従来の渋い色味より淡い、涼しげな色味にカラーバリエーションを変更。

　また、ブランケットなどのファブリック商品は、「ワッフル織り」「パイル織り」といった織り方の工夫により、汗をかいても心地よい肌触りに仕上げた。湿度の高い梅雨の時期やエアコンによる冷えにも対応した商品で、涼しいだけではない快適な夏の暮らしの提案を行う。

　このほか、需要が増しているカテゴリーの品揃えを強化している。今最も売上が伸びている商品の1つであるフレグランスオイルは、「さくら」「グリーン」など春夏をイメージした4種類の香りを追加した。アフターコロナにおける旅行客の増加を受けて、トラベルグッズも品揃えを増やした。

　今回発表された商品はいずれも、原料を厳選したほかに、機能性やデザイン、カラーに至るまで、ユーザーの目線に立ちながら「感じ良い暮らし」の実現を追求した内容となる。

　しのぎを削る生活雑貨市場の中でも、同社のように一貫したコンセプトのもとで、家具から日用品、ケア用品や食品などを幅広く取り扱う企業は少ない。この独自性こそ、無印良品と他社ブランドとの差別化につながっている。