ヤオコー、バローHD、サミット 24年3月期決算分析と今期の戦略

文:西岡 克(フリーランスライター)
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食品スーパー(SM)の2024年3月期決算が出揃った。ヤオコー(埼玉県/川野澄人社長)、バローホールディングス(岐阜県/小池孝幸社長:以下、バローHD)、サミット(東京都/服部哲也社長)の主要3社は増収・2ケタ増益の好決算だった。3社とも既存店が好調に推移し、増収効果で利益も軒並み改善したかたちだ。なお、ヤオコーとバローHDは決算発表と同時に新たな中期経営計画も発表している。

ヤオコー
増収増益記録が「35」に二極化対応で支持獲得

 ヤオコーの24年3月期連結業績は、営業収益6195億円(対前期比9.8%増)、営業利益293億円(同11.8%増)、経常利益288億円(同12.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益182億円(同15.1%増)と増収・2ケタ増益を果たし、35期連続の増収増益を達成した。

ヤオコー

 既存店売上高は前期から同7.7%増で、買い上げ客数が同3.8%増、客単価が同3.7%増といずれも伸びた。売上高に占める販管費率も24.1%と、前期から0.3ポイント(pt)改善している。期中はヤオコー4店、ディスカウントフォーマットの「フーコット」が2店の計6店を新規出店した。

 24年3月期はかねて実施している消費の二極化への対応を継続。月間特売「厳選100品」で低価格を訴求する一方、「豊洲祭り」などの販促企画でこだわり商品を売り込み、同社の顧客セグメントにおける「カイワケ」「コダワリ」の客層からそれぞれ支持を得た。

 ライフコーポレーション(大阪府/岩崎高治社長)と共同開発する低価格プライベートブランド(PB)「スターセレクト」が大きく伸びたこともあり、売上高におけるPB比率は前期から0.25pt増の10.1%となった。また、22年から導入したAIを活用した自動発注が安定稼働したことにより、ドライグロサリーにおける1人1時間当たりの売上高は同7.4%増と生産性向上で成果がみられている。

 25年3月期はヤオコーの次なる旗艦店と位置づける「久喜吉羽店」(埼玉県久喜市)を

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