デニーズの冷凍食品「Denny’s Table」が共働き世帯にヒットした理由とは?
ポジショニング確立のための工夫
Denny’s Tableが好調な要因はほかにも、ターゲティングがうまくマッチした点も挙げられる。
先述のとおり「自宅でも外食を再現したい」というコンセプトから始まったDenny’s Tableは、30~40代の働きながら子育てをする女性をメーンターゲットに設定した。商品開発にあたって社内外で30~40代の働きながら子育てをしている女性に意見を募ったところ、お金で時間を買う人が多いことがわかったそうだ。「そうした世代が求める冷凍食品は、価格の安さよりも『早くつくれておいしい』商品だった」と堀川氏は説明する。
それに加えて「手抜き料理、もしくはいつも同じ料理だと家族に思われたくない」といった声が多いことも見えてきたという。結果として、価格の安さよりもおいしさや外食のプレミアム感を訴求する商品ができあがった。
デニーズは当初、Denny’s Tableの商品を実店舗とイトーヨーカドーネットスーパーの両方で販売開始しており、売れ行きは堀川氏の予想に反してイトーヨーカドーネット通販のほうがよかったという。その理由について、堀川氏は以下のように分析する。
「想像以上に、時間をお金でカバーしたいと考えているお客さまが多かったのではないか。Denny’s Tableのコンセプトがネット通販チャネルとマッチしたといえる」(堀川氏)
Denny’s Tableの新たなチャレンジ
Denny’s Tableで最も売れ行きのいい商品は、「お店のソースで仕込んだデミグラスハンバーグ」(税込580円)と「和風ビーフシチュー」(税込753円)だという。デミグラスハンバーグはデニーズで提供する料理と同じソースを使用している。これがDenny’s Tableの強みなのだが、デニーズはプロモーションにも余念がない。よりおいしく食べてもらいたいという思いからDenny’s Table公式のホームページやInstagram、デニーズの店舗などで、ひと手間を加えるだけのアレンジレシピを提案している。
デニーズは、Denny’s Tableのさらなる発展に向けて課題や展望について語る。
「今後はデニーズのブランドを生かすだけではなく、お客さまの想像を超える“尖った”商品を打ち出さなければならない。ほかにも、個食だけではなく家族向けの大容量商品も販売したい」(堀川氏)
1974年に国内1号店がオープンしてから来年で50年が経つデニーズ。歴史あるファミレスチェーンの強みを生かしてさらなるチャレンジを続ける。