スーパーのPBがギフトになる時代! 独自商品のブランディングが企業イメージを”更新”させる

宮川 耕平(日本食糧新聞社)

西友は独自商品で「質販店化」

 西友は、大久保恒夫社長の就任以降、ウォルマート時代からのイメージ転換を進めてきました。それは、消費者にもかなり浸透していた「EDLPの西友」から、販売力と商品力で売上を伸ばす「質販店化」をめざすプロセスでした。同社の主力PB「みなさまのお墨付き」は、レトルトカレーに代表されるように独自色を強め、独自調達の生鮮品はPB「食の幸」としてブランディング。多くのカテゴリーに取り入れた上質品は「SEIYU FINE SELECT」として、バイヤーの目利きをアピールします。

 2024年にスタートしたスイーツPB「ジュテ・アン・ソール」はパティシエ監修の開発商品で、6月発売の第5弾では「黒糖シュー」など新たに和テイストの品揃えを追加しました。

 ワインでは、昨年秋からソムリエ資格者によるバイヤーセレクションの展開が始まりました。前述のFINE SELECT内の取り組みですが、バイヤーの顔写真入りPOPも掲示してアピールを強めています。ワインの価格帯は税込1000円前後~1000円台後半です。ほかのカテゴリーにも共通して言えるのは、西友の価値訴求はあくまで日常消費の範囲内ということです。決して高級路線ではない中に、かつてのEDLPから変貌した姿があります。

ソムリエセレクションで価値訴求する西友のワイン売場

贈答はPBを試してもらう機会

 スーパーマーケットが得意とする生鮮品を、夏ギフトの看板商品としてカタログに掲載するチェーンは多いです。たとえば西友は、カタログ内でPB「食の幸」の生鮮品を特集しています。また、イオン(千葉県)グループも、「トップバリュ」の和牛ギフトや、同じく「グリーンアイ」のウナギ蒲焼などをギフト化しています。さらに西友は、PB「みなさまのお墨付き」のレトルトカレーなどもギフトセットにしています。

 PBの位置付けは一昔前とは違います。ナショナルブランド(NB)に比べて安いことだけを訴求していた時代には、「PBを贈答する」という発想はあり得なかったでしょう。

 加工食品のPBをギフト化するチェーンはほかにもあります。茨城県を地盤とするカスミは自社PB「MiiL」のピザやドレッシングをカタログ内で特集、ライフコーポレーション(大阪府)のギフトカタログは、PB「ビオラル」シリーズで巻頭を飾るのが恒例です。

 これらのPBは、チェーンの独自色を打ち出すための商品群です。NBメーカーはギフトについて、自社商品を試してもらうチャンスと言ったりしますが、PBをギフト化するチェーンストアの狙いも同じでしょう。自社のファンがPBを贈答してくれれば、新たなファン獲得につながる期待が持てます。

 店頭でもネットでもメディアでも、さらにはギフトを通じても、各社はあらゆる機会で独自商品の価値を伝えようとしています。商品を見る目が変われば、そのチェーンを見る目も変わるはずです。

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