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「肉=岩塩」と決めつけていませんか?「おいしい」塩の使い方、選び方

2025/02/26 05:55
青山 志穂 (日本ソルトコーディネーター協会代表理事)
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「よい塩梅」という言葉があるように、塩は料理の味を左右する、欠かせない調味料です。1997年に専売制度が廃止されてから20年以上が経ち、日本では海塩や岩塩、フレーバーソルトなど、2000種類以上の塩が食品スーパーに並ぶようになりました。しかし選択肢が増えた一方で、「どれを選べばよいかわからない」という声も多く聞かれます。本記事では、塩の専門家・青山志穂氏が「塩に関するよくある誤解」を解説し、料理に適した塩の選び方や使い分けのポイントを詳しく紹介します。

塩に関するよくある誤解①
「自然塩(天然塩)」はミネラル豊富?
岩塩よりも海水塩が良い?

 塩には、海水を蒸発させてできる海水塩(海塩)や、地中で数百万年~数億年前に結晶化した塩を掘り出した岩塩などの種類があります。しかし、原材料だけで味の傾向やミネラルの含有量が決まるわけではありません。

 なぜなら、塩の味わいや結晶の形、そしてナトリウムはじめとするミネラルのバランスが、製法や成り立ちによって左右されるからです。海水塩でも岩塩でも、ナトリウムの純度が低いものから高いものまであり、味わいもそれによって異なります。

塩に関するよくある誤解②
「食塩」と「精製塩」って同じ?
ナトリウムだけの悪い塩?

 まず、「塩化ナトリウム純度が高い=精製塩」という間違えた情報発信が多いために誤解している人も多いのですが、「食塩」と「精製塩」はいずれも商品名であり、異なる原料・製法で作られている塩です。

 「食塩」は国産の海水100%からできています。「精製塩」は、メキシコまたはオーストラリアの大規模な天日塩田で収穫された天日塩を日本の海水でいったん溶かして塩水にしてから再結晶させて乾燥し、そこに炭酸マグネシウムを加えて再加工したものです。

 どちらも塩化ナトリウム純度は99%以上と高く、ストレートなしょっぱさがメインの味わいであることから「健康に悪いもの」に思われがちですが、料理の最終的な塩加減を微調整する際や、食材の甘さを引き立たせる際には料理の幅を広げ、さまざまな場面で活躍する塩です。

日本国内に流通する塩

塩に関するよくある誤解③
「海のものには海塩、山のものには岩塩」は本当?

 前述のとおり、塩の味わいを決める主な要素は塩に含まれるミネラルバランスと結晶の形です。たしかに魚介類に海の風味は相性が良いですが、海水塩だからといって必ず海水の風味がするわけではありませんし、山の生き物がすべて必ずしも岩塩を飼料としているわけでもありません。そのため、「魚介類には海水塩、肉類には岩塩」と単純に分類するのは、適切ではありません。

 では一体、どのように塩を選んだり使い分けたりすればよいのでしょうか。簡単なポイント解説します。

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記事執筆者

青山 志穂 / 日本ソルトコーディネーター協会 代表理事
東京都中央区生まれ。慶応義塾大学 総合政策学部総合政策学科卒業。大学卒業後、カゴメに入社し、大阪支社での営業、そして東京本社にて商品開発とマーケティングに従事する。2012年に独立し、日本ソルトコーディネーター協会を設立。セミナーやワークショップの開催、企業と協働での商品開発やメニュー開発に携わる。現在は全国各地を飛び回り、講演活動やメディア出演など、塩の魅力を広く伝えている。
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