コロナ禍がきっかけ! カフェインレスコーヒー市場が急成長している理由とは
2ケタ伸長を続けるUCC上島珈琲
UCC上島珈琲も、カフェインレスコーヒーの売上を伸ばしている。直近の数期ではカフェインレスコーヒーカテゴリーの売上は2ケタ伸長を継続しており、22年12月期決算では同カテゴリーの売上高が対前期比2ケタ増を記録した。
同社も「おいしいカフェインレスコーヒー」シリーズを23年3月にリニューアルしている。リニューアルでは焙煎の温度を調整し、焙煎時間を従来よりも長くした。カフェインを抽出する過程で香りや味のもとになる成分が減少することがうす味になる原因だったが、焙煎時間を長くすることでコーヒーの甘みやコクを引き立てられるようになった。
「おいしいカフェインレスコーヒー」シリーズからはインスタント商品とペットボトル商品、粉製品のレギュラー商品のほかにワンドリップ商品を販売している。ワンドリップ商品は通常タイプ以外に「コク深め」タイプを出しており、リニューアルでより引き立てられたコクを強調する。
UCC上島珈琲の嗜好品マーケティング本部でカフェインレスコーヒーの開発を担当する豊田友希氏は、今後の展開について以下のように語る。
「コロナ禍によりコーヒーが人々の生活習慣に馴染み、『カフェインマネージメント』に注目が集まっている。今後もカフェインレスコーヒーは売上を拡大していくだろう。一方で、カフェインレスコーヒーに対して、『おいしくない』『妊婦や高齢者のための飲料』といったイメージを持たれている人も少なくない。コーヒー専業メーカーである当社が味にこだわった商品を開発することで、市場をさらに拡大させていきたい」(豊田氏)
近年はライフコーポレーション(大阪府)やセブン&アイ・ホールディングス(東京都)など、プライベートブランド(PB)からカフェインレスコーヒーを販売している小売企業も多い。カフェインレス市場の活性化で、今後も高質な商品の開発が期待される。