進化系ハンバーグから発展!流行中の“育てる”系フードとは
人手不足とフードロスを解説する理想的な業態
その背景には、ビジネスモデルのカラクリがある。メニューはハンバーグと汁物、生卵、大根おろし、ご飯、卓上の調味料だけ。メニューを絞ることでフードロスが出ず、仕込みの簡素化やオペレーションの円滑化に直結する仕組みとなっている。また看板のハンバーグは、実は焼き加減が難しく、職人技が必要とされる料理。そこを「レアで提供し、お客自身が好みの焼き加減に焼く」ことを売りにすることで、アルバイトでも加熱でき、提供スピードも短縮。さらに客席はお客の目の前から提供できて高回転率を期待できるカウンターだけの店が多いため、人件費も人材も極力少なく済む。
こうした高利益率と高回転率、円滑なオペレーション、話題性と楽しさから追随する他社が後を絶たず、各社FC展開や店舗展開で売上を伸ばす。消費者からすると誰もが好きなハンバーグという分かりやすいメニュー、プチ贅沢な1000円台の定食という点も大きい。
他業態まで波及する“育てる”キーワード
そして現在では「育てるタレ」など、“育てる”という言葉が別業態まで波及し、飲食業界で注目したい一大キーワードになってきた。
東京・中目黒の『美濃ジンギスカン きたひつじ 中目黒』では焼いたジンギスカンや野菜を2種類のタレにつけて食べ、さらにお好みで加える唐辛子やニンニクを入れて楽しむうちにジンギスカンや野菜の風味や油脂が移り、最後には焼きおにぎりに“育てた”タレをつけて食べることを提案する。
例えば鍋の最後に残った旨味の濃いだしで雑炊を楽しむなど、一見すると今までの料理の食べ方としても一般的だった行為も、味を自分好みの方向性に持っていき、「自発的に育てたものを最終的に食べる、自分だけの味」と発信することで若年層の感性にアクセスできる。この新たなキラーワードとも言える“育てる●●”。流行の育てるハンバーグの動きと同様、要注目である。